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災害社会史の北原さん記念講演 田辺市で南方賞授賞式

真砂充敏田辺市長(左)からトロフィーを受け取った北原糸子さん=和歌山県田辺市新屋敷町で
真砂充敏田辺市長(左)からトロフィーを受け取った北原糸子さん=和歌山県田辺市新屋敷町で
 第30回「南方熊楠賞」を受賞した立命館大学歴史都市防災研究所客員研究員、北原糸子さん(81)の授賞式が7日、和歌山県田辺市新屋敷町の紀南文化会館であった。災害社会史の第一人者である北原さんは、昭和南海地震(1946年)で大きな津波被害を受けた旧新庄村(現田辺市新庄町)の災害体験記を題材に記念講演。「(受賞をきっかけに)少し新しい事実を調べられ、熊楠さんに恩返しができたかなと思う」と語った。

 市と南方熊楠顕彰会主催。当初は5月に開く予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期していた。

 北原さんは歴史学が専門。災害に直面した人々や社会がどう対応してきたかを追究する「災害社会史」という新たな研究領域を開拓してきた。

 受賞決定後に市を訪れ、昭和南海地震の資料などを調査。その際に出合った新庄村公民館刊行の「昭和の津浪」(51年)について「震災で体験したことを記録にきちんと残してほしいという村民の声を受けてまとめられた、立派な内容の本。大変感動した」と語った。

 終戦直後の占領下で起こった災害に、政府や県、村がどのように対応したかについても解説。被害状況や復旧対策について記された当時の行政資料などを紹介した。



 熊楠賞は、世界的な博物学者で後半生を田辺市で過ごした南方熊楠(1867~1941)をたたえようと、1991年度から表彰を始めた。例年、人文部門と自然科学部門から交互に選考。北原さんで受賞者は33人目となる。

 授賞式では、顕彰会会長の真砂充敏田辺市長が北原さんに表彰状とトロフィーを贈った。

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