和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月04日(土)

檜皮や絵柄に興味津々 小中学生が修復中の神社見学

和歌山県文化財センターの下津健太朗さん(右)から檜皮葺屋根について聞く児童=和歌山県みなべ町西本庄で
和歌山県文化財センターの下津健太朗さん(右)から檜皮葺屋根について聞く児童=和歌山県みなべ町西本庄で
屋根に並べる檜皮に学校名や氏名を書き込む児童
屋根に並べる檜皮に学校名や氏名を書き込む児童
 和歌山県みなべ町谷口にある上南部小学校の児童と同町東本庄にある上南部中学校の生徒が2日、同町西本庄の須賀神社を訪れ、屋根のふき替えや壁面の修復に向けた工事が始まった社殿を見学した。社殿は県指定文化財で、子どもたちは、檜皮葺(ひわだぶき)屋根の構造や壁面にあしらわれた動物の絵柄に見入っていた。


 見学したのは上南部小の6年生29人と上南部中の全校生徒114人。尾根のふき替えは35年ぶりで、作業のための足場が組まれて屋根の解体が進んでいる。見学は間近で構造を見ることで郷土の貴重な文化財に一層興味を持ってもらおうと、神社が企画した。

 上南部小の児童は2班に分かれて見学。社務所では前芝弘知宮司(45)から、今回の屋根のふき替えや壁面の修復についての説明を聞いた。児童は前芝宮司の「昔の人は環境を考えながら、自然の物を使った。それが長持ちすることにつながっている。みんなも伝統文化を守ってくれたらうれしい」という呼び掛けにうなずいていた。また「記念になれば」と、屋根に使う檜皮に学校名や氏名を書き入れ、檜皮を留めるのに使った竹のくぎをもらった。

 工事中の社殿では足場に登り、修復を受け持つ県文化財センター職員の下津健太朗さん(43)から説明を聞いた。1936年の修復の際に、箱棟を長持ちさせるために銅板を使って工夫していることや、軒先に塗られた色が他地域なら白や黄が多いが、ここでは緑が使われていることを紹介された児童は、興味深そうに眺めていた。竜や獅子、亀の絵柄にも注目していた。

 岩崎優月さん(11)は「動物の彫刻がたくさんあったのが印象的だった」、久保正樹君(12)は「昔の人は自然の物を大切にし、知恵を使って造っているのがすごいなあと思った」と話した。

 須賀神社は平安中期の一条天皇(980~1011)の時代に京都祇園御霊宮(現在の八坂神社)を勧請したとされる。社殿は3棟あり、現在の建物は江戸中期に建立されたとされ、今回の屋根の解体により「享保四年」と墨書きされた文字が見つかり、それが裏付けされたという。

 屋根のふき替えは11月に予定しており、その際にも小中学生に見学してもらいたいという。