和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月02日(木)

建設事業功労で大臣表彰 みなべ町の中本さん

建設業界の担い手となる技術者を数多く輩出しており、今も現役の中本純次さん。2018年には産業振興で和歌山県知事表彰を受けている
建設業界の担い手となる技術者を数多く輩出しており、今も現役の中本純次さん。2018年には産業振興で和歌山県知事表彰を受けている
 和歌山県御坊市にある和歌山工業高等専門学校の元副校長で、今春まで県建設工事等総合評価審査委員会の会長を務めた中本純次さん(67)=みなべ町東岩代=が、本年度の建設事業関係功労者等の国土交通大臣表彰を受けた。半世紀にわたって土木に関わり、業界発展や地域インフラの整備に寄与したことが評価された。

 1974年に和高専土木工学科を卒業してすぐ同校の助手となり、環境都市工学科の教授を経て2015年から17年まで副校長を務めた。現在も非常勤講師として勤務する。

 研究の専門分野はコンクリート工学と土木施工。多くの論文を提出し、学会で高い評価を受けている。この研究を生かし05年から、コンクリートの品質向上を目指す県生コンクリート品質管理監査会議の議長に就任。同年から入札改革を第三者の立場で進める近畿地方整備局県総合評価委員会の委員となり、同じ目的で翌年に県でも設立された県建設工事等総合評価審査委員会の初代会長も務めた。専門知識に裏打ちされた見識に基づいて的確に判断するなど、委員会を円滑に運営。適切な入札事務の執行に尽力し、不適格業者の排除や公共工事の品質確保、地元業者の育成など、地域の産業や生活の基盤となる公共施設の整備に大きく貢献した。「価格だけでなく、技術を伴った工事が必要。業界の変革期となり、県内の業者にとっても技術向上につながったのではないか」と話す。

 また08年に設立されたNPO「翠(みどり)」の理事長として社会貢献活動にも尽力している。とりわけ技術者の育成に積極的に取り組んでいる。

 技術者の育成は今も現役。「これからも技術者や団体を支援し、地域のために頑張りたい」と力強く語る。

 県内関係では中本さんのほか、4人が表彰を受けた。中本さんは「周りの人が推薦してくれたのではないかと思う。その気持ちが何よりもうれしい」と喜ぶ。