和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月10日(火)

家具の売り上げコロナ前の1.5倍 龍神村のジー・ワークス

工房で家具製作に励む松本泉代表(和歌山県田辺市龍神村福井で)
工房で家具製作に励む松本泉代表(和歌山県田辺市龍神村福井で)
店内に展示しているロッキングチェア
店内に展示しているロッキングチェア
 和歌山県田辺市龍神村福井の木工館「ジー・ワークス」(松本泉代表)は、新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が高まる中、龍神材を使ったいすなどの家具の売り上げを伸ばしている。売れ筋のロッキングチェアは全国から注文があり、納品まで数カ月待ちの人気商品となっている。同施設の広報担当者は「龍神村と地元産材を知ってもらう良い機会。今後も顧客を大切にしていきたい」と話している。


 同施設は1997年創業で家具の製造販売を手掛ける。従業員7人のうち、3人が家具製造に携わっている。龍神村産のスギやヒノキ、ヤマザクラを使い、いすやテーブル、子ども用の滑り台などを作っている。

 新型コロナの感染が拡大し始めた当初は1カ月ほど閉店し、その後、開店してからも対面販売が難しく来店者が激減。だが、以前からしていたネット販売での注文が徐々に増えてきた。

 そこでコロナ禍の中で売り上げを伸ばす対策として、在宅勤務用に組み立て式の仕事用机を開発して発売。また、約1年前にロッキングチェアの製作風景を動画投稿サイト「ユーチューブ」で流したところ、視聴回数は1万5千回を超えている。

 さらに、テレビで全国に放送されたことをきっかけに、北海道など遠方からの注文が舞い込むようになった。人気のロッキングチェアは龍神村産のスギを使っていて1脚の製作に1カ月ほどかかることもあり、現在は納品まで4~5カ月待ちの状態。

 購買客からは「木の香りがして良い」「木目が美しく手触りが良い」「座面がすべすべしていて軟らかい」「座っていて気持ちがいい」などの感想が寄せられている。ロッキングチェア以外のいすの注文も増えて、コロナ禍前と比べても売り上げは約1・5倍に増えている。

 今後、龍神村産の木で作った家具のファンになった人にメールを送ったり、企画を考えたりしてつながりを大切にしていきたいという。

 家具職人になって33年という松本代表(63)は「龍神村産の木材や家具の良さが伝わっているようでうれしい。購買客の声を生かして体形に合ったロッキングチェアの種類をもっと増やし、時流に合った家具や遊び心のある木製家具を作り続けたい。家具の販売をきっかけに、龍神村でスギがどんな所に植えられているのか、龍神村はどんな所なのかなどを、実際に来て見て楽しんでもらえることにつながればと思う」と話している。