和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年08月20日(土)

独自の工夫でワサビを試験栽培 収量増や効率化目指す

プラスチック製の管と梅種子炭を利用してワサビの試験栽培をしている中田稔さん(和歌山県印南町川又で)
プラスチック製の管と梅種子炭を利用してワサビの試験栽培をしている中田稔さん(和歌山県印南町川又で)
 和歌山県印南町で環境保護に取り組む有志らが、同町川又の山林で建設資材の管を用いたり、炭化した梅種子を使ったりする独自の方法で、町の特産品であるワサビの試験栽培に取り組み、収量の増加や作業の効率化を目指している。


 試験栽培に取り組んでいるのは、自然との共生を考える場として水田をビオトープにして環境保護に努めている「ビオトープ切目川」(中田稔代表)と、和歌山工業高等専門学校(御坊市名田町)の学生でつくる環境福祉ボランティアサークル「アメーバ」のメンバー。

 ワサビ栽培は、山間部の冷涼な気候と豊富な谷水といった環境が適しているが、大雨になると流水によりワサビの茎が折れたり、土砂で谷が埋まったりする。また、近年は水量が減少するなど栽培には苦労が多い。

 そこで6年前から試験栽培に取り組み、収量増や収穫作業の効率化を探る中で二つの方法を考案して効果を確かめている。

 一つは、建設資材で使うプラスチック製で波状の管(直径約40センチ)を使用する方法。管を縦に半分に切ってU字形にして、砂利を入れて山の斜面沿いに設置し、谷水を管に流し込むことで水が絶えないようにする。こうすることで収穫時に茎を踏むことなく、管の両サイドから収穫するので楽な姿勢でできる。場所に余裕があれば、大掛かりな工事をせずに管を延長して栽培面積を増やすこともできる。

 もう一つの方法は、中田代表(70)が2年前に製造法の特許を取得した梅種子炭の活用。中田代表によると、タールを含まない無機炭で残留シアンもない。微細な穴が多数あり、土壌中や水中の不純物を吸着することから、植物の成長を阻害する要因を排除できる。さらにミネラル成分が水に溶けやすい状態になっていてワサビの成長を促す効果も期待できるという。

 中田代表らは現在、管で育てているワサビの根茎のそばにこの炭を置いて成長具合を観察したり、ワサビが出すアレロパシー物質による自家中毒症状を抑える働きがあるかどうかを調べたりしている。

 中田代表は「山間部では谷からパイプで水を引いて生活用水に使っている所が多いので、すぐに利用できる栽培方法だと思う。梅種子炭は製造方法を確立するまで苦労したが、産業廃棄物として処理されている梅の種を活用できる。この炭を使うとワサビの成長が早いようだ。今後もアメーバやビオトープのメンバーと一緒に詳しく調べていきたい」と話している。