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2024年10月10日(木)

田辺市の斜面崩壊「拡大に注意」 現地調査で専門家指摘

大規模に崩れた斜面。上方の斜面が動いているのが原因とされる(7月29日、和歌山県田辺市上秋津で)=ドローンで撮影
大規模に崩れた斜面。上方の斜面が動いているのが原因とされる(7月29日、和歌山県田辺市上秋津で)=ドローンで撮影
 林野庁近畿中国森林管理局は13日、和歌山県田辺市上秋津の奇絶峡近くで発生した大規模な斜面崩壊の現地調査結果を公表した。調査に協力した専門家から「不安定さが増している可能性があり、拡大崩壊に十分な注意が必要」と指摘があり、同局は「調査結果を踏まえた対策を早急に進める」としている。

 斜面崩壊は7月28日に発生した。規模は幅約50メートル、高さ約20メートルで、崩れた土石は約1500立方メートル。斜面の上方で地滑りのような動きが続いているのが原因とされている。調査は今月1日、京都大学防災研究所(京都府宇治市)の松浦純生教授や森林総合研究所(茨城県つくば市)の森林防災研究領域山地災害研究室の岡本隆室長らが参加して実施した。

 専門家の見解によると、崩壊した箇所は、砂岩と泥岩で構成された岩盤に複雑な亀裂が入り、風化が進み、脆弱(ぜいじゃく)になっていた。原因については、斜面の末端にひずみが累積した結果、崩壊した箇所に応力が集中し、崩壊を起こしたと考えられる。7月の継続的な降雨も影響した可能性があるとしている。

 崩壊の後、斜面の動きが活発になっていることに加え、崩壊箇所の後背斜面に新たな亀裂が見つかっていることから、不安定さが増している可能性があり、拡大崩壊へ十分な注意が必要だと指摘している。

 今後、離れた場所から測定する技術などを用いて観測を早期に始め、無人化施工技術などによる土塁などの応急措置を行う必要があると助言。さらに、十分な安全対策を取った上で、斜面の動きを抑制するための対策を早期に再開する必要があるとした。