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2024年05月08日(水)

〝後輩〟にエール 白浜町議会引退意向の2議員

楠本隆典氏
楠本隆典氏
南勝弥氏
南勝弥氏
 白浜町議会の楠本隆典(79)、南勝弥(77)両議員は、任期満了に伴う町議選(15日告示)に立候補せず、引退する。ともに議長を経験し、旧町を含め4人の町長と論戦を交わしてきたベテランは「自分の信念を曲げないで」「行政のチェック機能であることを意識してほしい」と〝後輩〟にエールを送っている。


 楠本氏は1995年から26年間、南氏は99年から22年間、議員活動を続けた。

 楠本氏は、自身が作る「議会だより」を出し続けた。「議会であったことを住民にきちんと報告する」と最初に決めたからだ。配っている時に厳しい声を聞いたこともあったと振り返るが「そうだったのか、と思える内容の意見もあった。議員はいつも住民の視点に立って考えることが大切だ」と力を込める。

 住民の要望が議員を通じ、町を動かすこともある。

 一例が、交通弱者の支援策。町は2022年度から、対象となる高齢者がタクシー券を購入する際の費用を助成する。楠本氏を含む複数の議員が一般質問で取り上げたこともきっかけだった。「助成事業の始まりは第1段階。これだけで終わらず、町には内容を拡充してもらいたい」と話す。

 南氏は「一般質問を大切にしてほしい」と話す。最近の議員と町執行部とのやりとりは「お互いが台本を読んでいるようで、白熱さに欠ける」と評する。「こういう質問をするから、と事前に伝えるのはいいが、答弁に『そうですか』だけで終わってはあまり意味がない。さらに問い掛ける必要がある」と訴える。

 町の予算案を審議する特別委員会では21、22年と続けて修正案を出した。「町から納得できる説明が聞けなければ削らないといけない」。それが議員の仕事だという信念がある。

 ただ、いずれの修正案も採決で賛成が少なく、否決された。「やっぱり最後は『数』。ずっと言いたいことを言ってきたが、賛同者が少なかったのは反省点」と苦笑する。

 その点で、議員が〝束〟になることには意味があると思っている。「同じ問題でも違う角度から複数の議員が指摘すれば、執行部側の緊張感も変わってくる。1人ではあかんのです」と語った。


 町議選は20日投開票。紀伊民報の取材では、定数12に対して、現職10人、新顔3人が立候補の準備をしている。
感染者も投票可能


 新型コロナウイルスの感染が収まらない中で白浜町議選を迎えるが、感染が分かって自宅や宿泊施設で療養している人も郵便で投票できる制度がある。

 制度を利用する場合は、投票日の4日前までに町へ届け出る必要があり、今回は16日が期限。町はホームページで制度の流れを紹介している。

 濃厚接触者は制度の対象にならない。投票は「不要不急の外出」には当たらない。

 制度に関する問い合わせは町総務課庶務係(0739・43・5555)へ。