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2024年05月07日(火)

カメムシ発生注意報 8月は平年の約2倍

調査のため、県うめ研究所で捕ったチャバネアオカメムシ(左側の小さい方)とツヤアオカメムシ
調査のため、県うめ研究所で捕ったチャバネアオカメムシ(左側の小さい方)とツヤアオカメムシ
 果実に被害を及ぼすカメムシの発生が多いため、和歌山県農作物病害虫防除所は26日、県の中部や南部にも農業者向けの注意報を発表した。南部への注意報発令は4年ぶり。県うめ研究所(みなべ町東本庄)の調査によると、8月の発生量は平年の約2倍。今後、収穫を迎えるミカンなどに警戒が必要で、早めの防除を呼びかけている。

 カメムシは果実を吸汁し、品質低下や落果などの被害を与える。県は7月、県北部に注意報を発表。依然として平年を上回る飛来があり、8月以降は、県中部や南部でも多発傾向として、注意報を発表した。南部への注意報は2018年8月以来。

 うめ研究所は敷地内で、水銀灯でおびき寄せる装置でカメムシを捕り、チャバネアオカメムシやツヤアオカメムシなどの数を調べている。

 5月から7月初めにかけて多く、その後いったん減っていたが、8月に入って再び増え始めた。8月1~20日の合計で、チャバネが1899匹(平年1030匹)、ツヤアオが899匹(同519・3匹)と平年の2倍近くある。

 研究員によると、カメムシの発生には、餌となるスギやヒノキの球果の豊凶が関係しているとされる。今年は少ないために山から出てきていることや、夜の気温が高く、活動が活発になっていることなどが、発生量の多い要因として考えられる。

 防除所によると、カメムシの飛来量は園地によって差が大きく、山林に隣接する園地は飛来が多く、被害が大きくなる傾向がある。また、台風通過後や強風後には、一時的に園地への飛来が多くなることがあるため、注意が必要。発生や被害状況をよく観察し、発生に応じて防除を早めに行うように啓発している。

 JA紀南の指導員は「現時点で、特に被害が出ているといった状況にはないが、今後警戒はしなければいけない」と話している。

 今年は全国的に多く、農林水産省のまとめによると、21日現在で同様のカメムシ注意報は21都府県で発令されている。