和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月08日(火)

一棟貸し温泉で復活 串本・橋杭岩そばの「弘法湯」

太平洋を望む半露天風呂にリニューアルされた「弘法湯」(和歌山県串本町姫で)
太平洋を望む半露天風呂にリニューアルされた「弘法湯」(和歌山県串本町姫で)
脱衣所や休憩所だけでなく、素泊まりの宿としても活用するスペース
脱衣所や休憩所だけでなく、素泊まりの宿としても活用するスペース
 和歌山県串本町を代表する景勝地である国の名勝・天然記念物「橋杭岩」そばにある温泉「弘法湯」が16日、一棟貸しの施設としてリニューアルオープンした。所有者である同町姫区から、同町樫野にある宿泊・観光サービス業「OUTDOOR TRIP(アウトドア トリップ)」(南畑義明代表取締役)が施設を借り、太平洋を望む絶景の半露天風呂に改装。南畑代表(35)は「町民、観光客の両方に愛される温泉に」と意気込んでいる。

 弘法湯は、姫区が宝くじの助成金も活用して施設を建設し、1978年10月に「湯開き」。単純硫黄泉でリウマチや神経痛、疲労回復などに効能があるといい、橋杭岩を造ったとされる弘法大師・空海が、病で苦しむ村人にこの湯の存在を教え人々を救ったとの伝説も残されている。

 木造平屋の施設には、窓から太平洋や紀伊大島を望むことができる小さな浴室が二つあり、長年、地域住民や観光客らから親しまれていたが、コロナ禍の影響もあって利用者数が減少する中、昨年3月末で営業を終えた。それを知った南畑代表が「歴史ある温泉なのでもったいないし、活用して地域を盛り上げたい」と姫区に提案し、施設を借りて運営を引き継ぐことになったという。

 同社では施設を大幅に改装。半露天風呂を設けて湯船につかりながら雄大な景色を楽しめるようにしたほか、新たに整備した9・5畳の脱衣所兼休憩室は、夜間には素泊まりの宿(定員3人)としても近く活用を始める計画という。

 姫区の中村省一区長(71)は「良い湯だし、長年親しまれてきた温泉。せっかくある施設なので、引き継いでくれるのはうれしい」。南畑代表は「これからも地域資源を活用して串本を盛り上げていきたい」と話している。

 営業時間は午前10時~午後4時50分で、毎正時から1枠50分の貸し切り。料金は1人1枠1200円(小学生は600円、幼児は無料)。水、木曜が定休。リニューアルオープンを記念し、平日限定で来年4月末まで町内在住者を対象に1人1枠400円(小学生は200円)で利用できるキャンペーンをする他、地元・姫区の住民にはより利用してもらえるサービスも検討している。テントサウナも有料で利用できる。

 受け付けや問い合わせは、同社が弘法湯の近くで運営している同町くじの川の「橋杭ICO(イコ)」(0735・70・1994)へ。