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2024年05月02日(木)

和歌山県知事選、自民はどうする  候補擁立で足並みそろわず

告示まで2カ月を切った知事選(写真は和歌山県庁)
告示まで2カ月を切った知事選(写真は和歌山県庁)
 告示(11月10日)まで2カ月を切った和歌山県知事選(11月27日投開票)。県政で大きな影響力を持つ自民党の方針がまだ決まっていない。足並みがそろわないのは、県連会長の二階俊博衆院議員と会長代行の世耕弘成参院議員による主導権争いとの見方もあり、今後の動向が注目される。

 現職の仁坂吉伸知事が6月、今期限りでの退任を表明。知事選にはいまのところ、国民民主党を離党した元衆院議員の岸本周平氏(66)だけが名乗りを上げ、自民に推薦願を出している。

 自民県連は6月から国会議員や県議による候補者の選考会議を開き、二階氏に近い議員らは岸本氏を推したが、衆院和歌山1区で自民候補と対立してきた岸本氏を推すことに反発する議員も多く、独自候補擁立の声が高まっていた。

 真砂充敏田辺市長や石田真敏衆院議員(和歌山2区)らの名前が挙がるも結論が出ず、世耕氏らが複数の官僚と交渉。総務官僚で青森県総務部長の小谷知也氏(43)=和歌山市出身=から「自民党の推薦があれば立候補する」という回答を得た。

 これを受けた4回目の選考会議が9月3日にあり、小谷氏擁立に決着。ただ、会議後の取材に対し、「県連を挙げて支援する」と興奮気味に語る県議がいた一方、「押し切られてしまった」と不満をこぼし「これからいろいろあるよ」と含みを持たせた県議もいた。

 それから5日後の8日、これまでの知事選で自民党と足並みをそろえてきた県町村会は、緊急の理事会で岸本氏の推薦を決定。町村会の岡本章会長(九度山町長)は「県連は町村会の意見を聞かず、小谷氏擁立を決めた」と県連の対応に不快感を示した。こうした状況を重く見た世耕氏は13日の記者会見で、小谷氏擁立は難しいという見解を示した。

 一連の動きには、二階氏と、衆院くら替えを模索する中で影響力を示したい世耕氏による主導権争いが背景にあるという見方がある。

 小谷氏の擁立断念が決まれば、時間的に別の独自候補を探すのは難しく、県連は岸本氏への推薦か、自主投票かを選択するとみられる。今後、岸本氏が衆院議員を辞職したことで空席となった和歌山1区の対応も合わせて注目される。