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2024年05月15日(水)

21日開幕 高校サッカー和歌山大会

高校サッカー和歌山大会組み合わせ
高校サッカー和歌山大会組み合わせ
 第101回全国高校サッカー選手権大会の和歌山大会(県サッカー協会、県高校体育連盟、テレビ和歌山主催)が21日に開幕する。合同1チームを含む28チームが参加する。3年生にとっては最後の大会で、優勝チームが全国へ出場する。地元の神島、田辺、田辺工業の3チームを紹介する。

■総合力で上位目指す 田辺
 夏以降に公式戦を戦ってきた2年生(12人)と1年生(14人)が中心になるが、3年生3人がチームに復帰してさらに層が厚くなった。「誰が試合に出ても遜色がない」(中山監督)という総合力で上位を目指す。
 FW(フォワード)の宮地、田中、中本らスピーディーで攻撃的な選手の特徴をMF(ミッドフィルダー)の新家、武田らが引き出し、ゴールにつなげる。
 攻撃の鍵を握るのは、高い技術を持つ3年のMF花光。前線に顔を出したり、後ろから試合を組み立てたりと状況判断ができ、中山監督も「試合中の判断は任せている」と信頼する。
 守備では、ともに副主将で、空中戦に強く的確な指示ができる青山、運動量が豊富で正確な配球ができる高橋のCB(センターバック)コンビが安定している。GK(ゴールキーパー)は八木、太田の2人が競い合っている。
 チームのモットーは「Pioneros(ピオネロス)」。スペイン語で「開拓者」の意味。田辺高サッカー部で代々受け継がれてきた。
 和歌山大会では、初戦で同じ紀南勢の神島と対戦する。日々の練習内容は選手たちが考え、実践している。中山監督は「選手たちは自立して考え、試合に臨む努力をしている。積極性をピッチ内外でより良く発揮してほしい」と期待する。
 主将の新家は「個性豊かな選手がそろい、仲が良いチーム。しっかり準備して及び腰にならず、前向きにひたすらゴールを狙いたい」と話している。

■けが人の復帰が鍵 神島
 けが人が多く、9月以降は練習や試合で人数が足りない日が続いた。そんな中、3年生4人がチームに復帰し、ようやく試合ができる体制が整ってきた。
 主将の敷矢、副主将の田中の両CBが軸になって守備から試合をつくり、得点力があるFW麻野にどうつなぐかが勝利の鍵を握る。
 敷矢主将のモットーは「起死回生」。「良いとは言えない状態でスタートした新チームだが、この大会を機に成長して今後の試合につなげたい」と話す。
 1試合を走り切れるように、練習では3キロ走や200メートル走などを取り入れている。9月からは、重さ12キロのウオーターバッグを使った体幹トレーニングを始めた。体力を付けて最後まで全員で攻め、全員で守るサッカーを目指す。
 今年活動を始めた田辺地方を拠点とする社会人サッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」とは、定期的に練習試合をしている。体格や技術などで上回る社会人との試合を通じて、神島の選手たちは多くのことを学んでいる。
 和歌山大会では、1回戦で田辺とぶつかる。まずは初戦突破を狙う。坂下監督は「積み上げてきた練習の成果が出てきたらうれしい」と話す。
 前主将の那須(3年)は、1年前の和歌山大会はけがで出場できなかった。「けがで半年以上サッカーができなかった悔しさを、この大会で晴らしたい。田辺とは地元対決なので気持ちで負けないようにしたい」と一戦に懸けている。

■3年生軸に初戦突破を 田辺工業
 3年生5人がチームを支える。GKの貴志は1対1に強く、度胸がある。DF田中斗はサイドから鋭いクロスボールを供給するなど、攻守で活躍が期待される。MF辻本は左サイドのドリブラーで、体力がついて守備もできるようになった。田中斗や辻本がサイドからチャンスをつくる。
 澤邊は頼れる主将で、司令塔として試合をつくる。決定力があり、体も強い。寺田監督は「1年の時からキャプテンにすると決めていた。澤邊がいないとこのチームは成り立たない」と、絶大な信頼を寄せる。
 もう一人の3年生の石井は、2月に入部した。ずっとやりたかったというサッカーを楽しみながら努力し、貴重な戦力になった。
 チーム全体としては、粘り強い守備からのカウンターで得点を狙う。
 和歌山大会では1回戦で新翔と対戦する。県3部リーグでは3年生不在の中、0―6で敗れているが内容は悪くなかったという。3年生の力を加えて初戦突破を目指す。
 副主将の辻本は「春の大会は初戦で敗れたので、一つでも多く試合に勝って楽しいサッカーをしたい」、田中斗は「1回は勝ちたいので、最後まで諦めずに頑張る」と、それぞれ意気込みを話している。
 昨年度は人数不足で大会に出場できないこともあったが、この春に1年生19人が入部し、活気づいている。
 寺田監督は「3年生はコロナ禍に加えて人数不足も経験している。一つでも多く試合をさせてやりたい」と話している。