和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月04日(土)

雌だけ産む「超メス」証明 近大、キャビア生産の効率化期待

近畿大学水産研究所新宮実験場が飼育するチョウザメ(提供)
近畿大学水産研究所新宮実験場が飼育するチョウザメ(提供)
 近畿大学水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)は、チョウザメの雌だけを産む「超メス」の存在を初めて証明したと発表した。キャビア(卵の塩漬け)生産の効率化につながると期待している。


 チョウザメは、生殖腺が発達するまでの数年間は雌雄を判別できない。雄も飼い続けることになるため、養殖現場での生産効率の悪さが課題になっている。

 性別を決める染色体はZとWがあり、雄は「ZZ」、雌は「ZW」と証明されている。W染色体だけの「WW」(=超メス)も存在するのではないかという考えは以前からあったが、証明されていなかった。

 新宮実験場の木南竜平助教(40)と稲野俊直准教授(57)の研究グループは今回、雌雄それぞれに特異的なDNAの配列を検出する遺伝子検査方法を開発し、それを使って調べて「超メス」の存在を確認した。

 これで、雌だけをふ化させる技術の確立へ大きく前進したと言えるとしている。ただ、生産効率が実際に高まるかどうかは「超メス」がきちんと育ち、産卵するかどうかが重要になる。これから数年をかけて研究していくという。

 グループでは、以前からチョウザメに関する研究に取り組んでいた。大豆イソフラボンを使った全雌化に日本で初めて成功するなどの実績を残している。