和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月02日(木)

枕状溶岩を天然記念物に みなべ観光セミナーで阪本さん

高野の山林で見つけた「枕状溶岩」について説明する阪本敏行さん(和歌山県みなべ町芝で)
高野の山林で見つけた「枕状溶岩」について説明する阪本敏行さん(和歌山県みなべ町芝で)
 元高校教諭で、日本山岳修験学会理事の阪本敏行さん(74)=和歌山県みなべ町東吉田=が、田辺ジオパーク研究会の仲間らと一緒にみなべ町高野の山林で見つけた「枕状溶岩」について、このほどあったみなべ観光協会主催の観光セミナーで紹介した。貴重な地域遺産として天然記念物に指定してもらいたいと期待を寄せた。

 阪本さんは県南部の鉱山跡を調査研究しており、高野に「金山(かなやま)」と呼ばれる鉱山跡があるのを知ったことから、3月下旬に仲間らと現場を訪れて確認。鉱山跡周辺の岩がマグマ由来の火成岩の一種である玄武岩で、形状から枕状溶岩だと分かった。広範囲にわたって地表に露出しており、規模の大きさに驚いたという。

 観光セミナーは同町芝の町役場であり、阪本さんは「金山鉱山跡と枕状溶岩」をテーマに講演した。みなべ観光ガイドの会のメンバーも含め28人が聴講した。

 阪本さんは講演で、自分たちが見つけた枕状溶岩について「とんでもないものが出てきたと思った。周辺では田辺市龍神村や美浜町にもある。よく知られるのは奈良県十津川村の玉置山。時代は違うが、つながりはある」と説明。高野の地層は、モササウルスなどの大型海生は虫類がいた白亜紀の日高川層群龍神層だといい「もしかしたら、モササウルスの化石があるかもしれない」と期待を膨らませた。

 現地を見た大学の専門家が、江戸末期に山師(鉱山業者)が枕状溶岩の所を掘っていたことに注目したことで「枕状溶岩と鉱山跡が深く関係していることが改めて分かった」とも説明した。

 みなべ町では「さざれ石」「清川石」「瓜渓石」がよく知られるが、「高野の枕状溶岩」も貴重なものだと強調。そのうえで「高野の枕状溶岩を天然記念物に指定できないだろうか。龍神村、美浜町、十津川村も含めて大きな形で捉えれば、地質遺産として見どころになるのではないか」と語った。