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2024年10月16日(水)

「盛大に田辺祭を」 4年ぶり、通常開催へ準備

コロナ禍前の2019年7月、市街地を練り歩く田辺祭の一行(和歌山県田辺市本町で)
コロナ禍前の2019年7月、市街地を練り歩く田辺祭の一行(和歌山県田辺市本町で)
 世界遺産・闘雞神社(和歌山県田辺市東陽)の今年の例大祭「田辺祭」は、通常通りの形で開催することに決まった。過去3年はコロナ禍の影響で神事のみにしたり、縮小したりしてきた。祭り関係者は「不安や課題もあるが、市民の協力を得て伝統をつなぎたい」と準備を進めている。

 田辺祭は宵宮が7月24日、本祭が25日。8基の笠鉾(かさほこ)が街中を練り歩く。紀州三大祭りの一つに数えられ、県無形民俗文化財にも登録されている。コロナ禍のために2020、21年は神事のみで、22年は笠鉾を出したが、それらが集まる「ひき揃(そろ)え」はないなど縮小した形だった。

 今年の開催に向けては、3年間の祭りの空白期間があったため、例年より早く関係者が準備を進めている。

 保存会は2月中に、19年の祭りと同様の通常通りの開催の方針を決め、今月11日に祭りに関係する14町内会長や神社総代らが集まる全体会を開いた。そこで、保存会が開催について説明。異論はなく、決まった。

 新型コロナに関しては、「ゼロコロナ」は当面難しいとの見通しから、コロナとの共存の考えを基本とする。一方で、子どもをはじめとした人員不足、資金不足など課題の声も出た。

 祭り継続のためにも、今年の祭りが終わった秋以降、協議会を立ち上げて課題解決に向けて話し合っていく方針という。

 本祭の約100日前の4月15日には田辺祭の最初の行事「御田祭」がある。また、各町が集まって例大祭の打ち合わせをする初集会は6月下旬に予定している。「田辺笠鉾協賛会」が、笠鉾維持運営のための協賛金依頼で事業所や個人宅を回る予定という。

 田辺祭保存会の高田英雄会長(84)は「今年、通常通りに再開しないとますます祭りの継続が難しくなるという危機感がある。460年余り続く伝統の祭り。コロナ禍で空白期間があり、いろんな不安や苦労はあると思うが、時間をかけて準備をして盛大な祭りにしたい。市民の皆さんにも支えていただきたい」と話している。