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2024年04月28日(日)

「犬からみた人類史」 南方熊楠顕彰館でシンポジウムと写真展、和歌山・田辺市

18日まで開催中の写真展「犬からみた人類史Ⅱ」(和歌山県田辺市中屋敷町の南方熊楠顕彰館で)
18日まで開催中の写真展「犬からみた人類史Ⅱ」(和歌山県田辺市中屋敷町の南方熊楠顕彰館で)
 和歌山県田辺市中屋敷町の南方熊楠顕彰館は9日午後2時~4時、同館1階学習室でシンポジウム「犬からみた人類史・紀州編―猟犬からペットへ」を開く。文化人類学や比較文化研究、動物行動学、狩猟実践の視点から、現在も進行する犬のペット化について考える。入場無料、事前申し込み不要。

 人間にとって最も身近な動物である犬。その犬との関わりから、人間社会の在り方を探るのが「犬からみた人類史」の試み。犬は人間社会に入り込みながら進化してきたが、近代以降、世界中で人と犬の関係は生業から愛玩へと変化してきた。

 シンポジウムでは、東京外国語大学准教授の大石高典さんが「犬から人類社会をみる」、狩猟指導員で京都府狩猟講師・試験委員の大道良太さんが「猟師はイヌの何処をみるか」、慶応義塾大学非常勤講師の志村真幸さんが「仔犬たちを観察する熊楠」、帝京科学大学「OPEN AIR LAB」館長の藪田慎司さんが「イヌとの遊び・イヌのトレーニング」と題して話す。

 南方熊楠顕彰館は18日まで、写真展「犬からみた人類史Ⅱ―猟犬からペットへ」を開催中。犬が狩りのパートナーから伴侶動物(ペット)になるまでを写真とともに紹介している。

 熊楠には犬をテーマとした論考も多く、近代を語る上で欠かせない「戦争に使われた犬」と猟犬を熊楠はどう見ていたのかについても取り上げており、「軍用犬の絵はがき」(個人蔵)などを展示。日本の軍犬は、ほとんどがシェパードで、陸軍の専門の部隊で訓練されたほか、民間からの献納も多かったことが分かっているという。

 夏期特別企画展「こどものための図鑑2―クマグスさんとふしぎな動物たち―」も同時開催している。

 開館時間は午前10時~午後5時(最終入館は午後4時半)。会期中の休館日は4、11日。