和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年07月07日(火)

熊野15一絵(7)串本町くじの川/橋杭岩に虹の橋

西日を受けて橋杭岩の上に架かった虹(8月13日午後4時20分、串本町くじの川で)
西日を受けて橋杭岩の上に架かった虹(8月13日午後4時20分、串本町くじの川で)
串本町くじの川地図
串本町くじの川地図
 まるで伝説の橋が完成したかのようだった。背後から差し込んだ西日が、橋杭岩の上に虹の橋を架けたのだ。

 その伝説とは、高野山を開いた弘法大師・空海と天の邪鬼(あまのじゃく)が、海を隔てて向かい合う紀伊大島まで、一晩で「橋の架けくらべ」をしたという内容。空海が勢いよく巨岩を立てていく様子を見て驚いた天の邪鬼が鶏の鳴き声をまねしてだまし、空海は夜が明けたと思って仕事を中止。橋杭(橋脚)だけが残ったというお話だ。

 陸地から沖へ約850メートルにわたって大小40余りの岩柱が直線状に並ぶ。約1500万~1400万年前、地下から上昇したマグマが「熊野層群」という地層に入り込んで固まるなどしてできたという。

 近くを通る熊野古道大辺路は近世、文人墨客が好んで歩き、橋杭岩を描いたびょうぶ絵も残る。国の名勝・天然記念物にも指定されており、時代を超え、間違いなく和歌山を代表する絶景だ。

 紀伊大島に遮られない春先から秋にかけては早朝、奇岩群と水平線から昇る太陽との共演が楽しめる。しかし、夕方にも素晴らしいシャッターチャンスがある。
(牧康宏)
=随時掲載