和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月29日(月)

ESG四半期レポート:2023年第4四半期

シュローダーでは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートを四半期毎に作成しています。本レポートでは、2023年第4四半期のサステナブル・インベストメント・レポートを構成する内容の一部をご紹介します。今回のテーマは、再生可能エネルギーへの投資における責任あるスチュワードシップ、インフラ・デットにおけるサステナビリティデータの報告の改善への取り組みについてです。


リスク管理を超えて:責任あるスチュワードシップがインフラの価値を創造する方法



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Isobel Lewis-Jarvis
ESGスペシャリスト


再生可能エネルギーセクターへの投資家として、私たちには業界全体のサステナビリティ慣行を改善するために積極的な役割を果たす責任があります。

再生可能エネルギー分野の長期投資家として、私たちは、私たちが管理する投資案件が、太陽光発電、風力発電、エネルギー転換資産に関連する敷地周辺の環境や地域社会にどのような影響を与えるかを積極的に考慮しています。私たちのアクティブ・オーナーシップ・アプローチでは、地域社会やスタッフから投資家、規制当局、業界の専門家に至るまで、すべての主要なステークホルダーと積極的かつ目的意識を持ったコミュニケーションを図り、投資対象がその耐用年数を通じてどのように貢献するかを改善する必要があります。私たちは、バイ・アンド・ホールドで25年以上の寿命を持つ再生可能インフラやエネルギー転換資産に投資しています。このように、私たちの投資は、直接的であれ間接的であれ、資産を取り巻くステークホルダーと地域社会に長期的な価値を提供することを目的としています。

投資に先立ち、社会・環境関連のリスク、影響、機会を確実に把握するために、デューデリジェンスを行います。この段階で、私たちは影響を管理し緩和するための計画を策定するか、あるいは投資を行わないことを決定します。投資を行った後は、規制や計画上の要件の一部として、地域社会や環境関連の責任を含む、私たちの義務を履行するための管理システムが整備されていることを確認します。これは、地域の生息環境や生態系に対する潜在的なリスクや影響を継続的に評価し、それらを防止または軽減することを意味します。生息地管理の取り組み事例としては、生垣や植樹、鳥やコウモリの管理、羊の放牧、野生動物の生育促進等が挙げられます。

私たちの資産の生物多様性フットプリントに関連するリスクを管理することで、私たちが事業を行っている拠点の生態系に悪影響を与えないようにすることができるだけでなく、価値創造のための新たな機会を提供することもできます。例えば、2021年の英国の環境法では、イングランドにおけるほとんどの計画許可に10%の「生物多様性ネットゲイン(Biodiversity Net Gain; BNG1)」を実証することが求められ、アセットオーナーは、自らの義務以上に管理されている土地の生物多様性を改善したことを証明できれば、生物多様性ユニットの売却により収入を得ることができるようになります。私たちの太陽光発電チームは、外部の生態学者と協働し、私たちの拠点の生物多様性ベースラインの測定を支援してきました。最初の4か所を評価するパイロット・プロジェクトの結果、小川や生垣のような直線的生物生息地、森林のような非直線的生物生息地の両方で、BNGが政府目標を上回っていることが明らかになりました。2023年には、太陽光発電のポートフォリオ全体(現在、英国で150以上の資産)の生物多様性の測定を継続し、2024年1-3月期に最終報告書を提出する予定です。これらの拠点における生物多様性の取り組みの一例として、地元の養蜂協会と協力して養蜂場を設置したことが挙げられます。

投資のスチュワードシップの中核として、私たちは地域社会とも積極的にエンゲージメントを行い、私たちの資産が事業所近隣の住民にプラスの影響を与えることを目指しています。これは、当社グループの資産が創出する新たな雇用や経済機会、または資産から資金を調達するコミュニティ・ベネフィット・スキームによって支援されるイニシアチブ等が該当します。2022年には、私たちが管理する事業が、地域のインフラ整備や学校支援から、公会堂の改良やコミュニティ・スペースの拡充に至るまで、860を超えるコミュニティ・プロジェクトに530万ドルを寄付しました。2023年は、地域社会へのインパクトを投資に組み込もうという投資家の意識が高まりました。10-12月期には6つの地方公務員年金(LGPS)の基金がイングランド南西部の再生可能インフラとエネルギー転換資産への長期的なインパクトのある投資に対し、3億3000万ポンドを拠出しました。このマンデートは、英国のLGPS基金が地域社会に特化した再生可能エネルギー・インフラにコミットするものとしては過去最大規模であり、英国政府のレベルアップ・アジェンダを支援するものです。

責任ある投資家であるということは、気候変動の緩和等の環境目標に貢献する資産を購入・運用すること以上の意味を持ちます。私たちは、生物多様性、生態系、地域社会を尊重する方法で、資産の運営と維持が地域の環境や社会に与える影響を適切に管理しなければなりません。しかし、建設規制や業界の発展、顧客の意向は、責任あるスチュワードシップが外部のステークホルダーへのリスクを軽減するだけでなく、価値創造の機会を提供できることを示しています。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が発足し、世界的な資金の流れが自然に対してネガティブなものからポジティブなものへとシフトすることを支援することを目的としていることから、このことはますます重要性を増していくことが予想されます。

1:BNGは、拠点について建設前と現在の生物多様性の違いを計算します。


インフラ・デットにおけるサステナビリティデータの報告の改善への取り組み


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Frédéric Brindeau
インフラストラクチャー・アセットマネジメントおよびESG ヘッド


現在、サステナビリティ&インパクト(S&I)におけるデータに関する課題に対処するため、大規模な取り組みが行われています。

サステナビリティ&インパクト(S&I)のデータの対象範囲及び開示

欧州のインフラを含む、プライベート市場にとって、有意義で信頼できるS&Iデータへのアクセスは大きな課題です。具体的には、標準化された情報開示の欠如に加え、企業から提供される非財務データ(情報開示のインセンティブが限られている)が不完全かつ比較不可能なことが、S&Iのパフォーマンスの評価とモニタリングを困難なものにしています。

現在、欧州の非上場企業は、一般的に非財務情報を開示する義務を負っていません。しかし、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)は、欧州の中型企業に大きな変化をもたらそうとしています。既存の非財務情報開示指令(NFRD)に代わるこの新しい規則は、2025年から2026年にかけて施行される予定で、NFRDが対象としていた12,000社に対し、50,000社以上に対象範囲が拡大されます。同様の欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の草案は、要求水準が高く、ESGアナリストにとっては、豊富な情報を収集する機会となります。

このような変化を見越して、私たちはすでに投資先企業に対してCSRDの今後の影響についての積極的なプロモーションを開始しています。すべてとは言わないまでも、ほとんどの投資先企業がCSRDの対象範囲に入ると考えており、非財務データの報告に対する認識と関心を高めることを目指しています。さらに、S&Iデータの報告をさらに推奨するために、文書上での誓約、定期的なアンケート、対話等を通じて企業に働きかけています。また、サステナビリティ・リンク・ローン等については、S&Iデータの開示の強化を間接的にも促しています。

S&Iデータの比較可能性

データのカバレッジは依然として限定的なものの、温室効果ガス排出量、特にスコープ1と2の排出量についてのデータは、最も幅広く報告され、標準化されています。金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)は、金融活動からの温室効果ガス排出量を一貫して測定・報告するための基準を策定しました。この原則によると、1ユーロの負債は1ユーロの株式と等価とみなされます。そして、負債であれ株式であれ、投資額は企業価値(負債と株式の合計)と比較され、排出寄与である比例持分が決定されます。この排出寄与の計算は、構造が単純な企業や連結決算が可能な企業では比較的簡単です。しかし、複数の資金調達構造を持つ企業や連結決算を行っていない企業では、より複雑になる可能性があります。

データ不足を背景に、市場の傾向としてポジティブな影響を過大評価しがちです。対照的に、私たちは、温室効果ガス排出量を超えて、インフラ投資について私たちが報告しているすべてのS&Iの重要業績評価指標(KPI)に対し、これらの比例持分を適用することにしました。このアプローチはより厳しいものですが、より強固で一貫性があり、二重計上を避け、投資家やより広範な市場により高い透明性を提供できると考えています。

CSRDに関する理解を積極的に進め、厳格な比例持分を導入することで、インフラセクターにおけるサステナビリティに関するデータ報告の改善に取り組んでいます。これにより、データの適合性と一貫性が強化され、業界における前向きな変化が促進されることを目指しています。

エンゲージメント:2023年第4四半期


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議決権行使:2023年第4四半期

弊社は、我々には株主の議決権を行使する義務があると考えています。従って、議案を評価した上で、株主に対する受託者責任のもと、議決権を行使します。シェアブロッキング等の理由により制限が設けられていない限り、全ての決議において投票しています。
今四半期は保有する企業が開催したうち約98%にあたる1133回の株主総会において議決権を行使しました。


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