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2024年11月10日(日)

住宅耐震化100%目標 能登半島地震受け和歌山県

住宅の耐震化を呼びかける岸本周平知事(和歌山県庁で)
住宅の耐震化を呼びかける岸本周平知事(和歌山県庁で)
 能登半島地震で、家屋の倒壊による圧死が原因で犠牲になったケースが多かったことを受け、和歌山県は県民に住宅の耐震化を呼びかけている。2020年度現在の県内耐震化率は推計で83%。近い将来南海トラフ地震が予想されているため、県は26年度までに100%になることを目標に、市町村や国と連携して支援している。


 県によると20年度現在、県内の住宅数37万9千戸のうち、6万5千戸は耐震性を満たしていないと推定されるという。

 市町村別の耐震化率は20年度推計で、紀北は和歌山市87%、岩出市89%、海南市80%などと高い傾向にあるが、紀南は田辺市73%、串本町78%(18年度)、那智勝浦町61%(同)、新宮市72%(同)など低い傾向にある。

 県は、補強設計や改修について、最高116万6千円を補助している。国が工事費の40%(上限50万円)を、県と市町村が合わせて66万6千円を定額で負担することから、金額によっては自己負担が生じない場合もある。工事費を抑えるため、低コスト工法や、耐震基準を満たさないが一定の耐震性を確保する「避難重視型補強」も補助対象となる。生存空間確保のため、耐震ベッドや耐震シェルターを設置する場合も、設置費用の3分の2(上限26万6千円)を補助している。

■耐震診断 専門家派遣も

 耐震診断は、00年5月以前に建てられた木造住宅の場合、自己負担はない。さまざまな相談や補助申請の手続き、改修プランや概算工事費の提案など支援する専門家も無料で派遣している。

 県は16年度から戸別訪問で耐震化促進の普及啓発をしている。耐震診断の実績は年間600~700件台だったが、戸別訪問開始後は千件前後に増加している。耐震改修の補助実績も15年度は161件だったが、16年度199件、17年度278件、18年度279件、19年度に362件まで伸びた。その後、コロナ禍の影響などでやや減り、22年度は307件だった。

 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の耐震化率は18年度現在で82%と和歌山県とほぼ同じ水準にある。石川県では一部破損を含め、住宅約5万戸が被害を受け、多くの人が住宅倒壊が原因で亡くなったという。

 岸本周平知事は5日の定例会見で「古い木造住宅にお住まいの方は、能登半島地震を契機に、耐震化の問題意識を持っていただきたい」と話した。この地震では、高齢で家を継ぐ人がおらず「お金をかけてまで耐震化するのか」という人がいたとした上で「耐震化しなくてもシェルターという方法がある。検討し相談してほしい」とした。