和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月29日(月)

「外国籍教員の教諭任用を」 改善求める運動全国へ、和歌山県教委に署名4千筆超を提出

外国籍教員のルーク・ザレブスキーさん=16日、和歌山市で
外国籍教員のルーク・ザレブスキーさん=16日、和歌山市で
 和歌山県教職員組合(和教組)と県高校教職員組合(和高教)はこのほど、外国籍の教員は教員採用試験に合格しても教諭になれないことについて、改善を求める署名4328筆を県教育委員会に提出した。約10カ月間の署名活動の中で、この問題に理解を示す人が増え、和歌山発の運動は全国に広がりつつあるという。

 国の教員免許状を取得し、公立学校の教員採用試験に合格し、正式に採用されれば教諭となる。しかし、外国籍教員の場合は採用試験を通っても教諭ではなく「任期の期限を付さない常勤講師」。主任や管理職は教諭でないとなれない。

 和歌山県などほとんどの教委では、1991年の国の通知に基づき、外国籍教員はこのような扱いとしている。

 当事者の一人、オーストラリア出身で県内の小学校教員、ルーク・ザレブスキーさん(45)は県内の学校で20年勤務している。担任や部活指導など教諭と同様の業務をしてきたが、学校主任になれず、キャリアが無視されたという思いもあり、今回の運動につながった。県内の外国籍教員はザレブスキーさんを含め4人という。

 両組合は昨年4月下旬から署名活動を開始。今年2月15日まで集め、県教委の担当課に提出。その後、和歌山市で集会を開いた。

 集会での報告によれば、県教委側からは「これまでも庁内で協議をしたが、国の通知があり、認めていない他府県も多い。国が認めれば和歌山県も動きやすいが、現状は困難」との回答にとどまったという。和教組の川口貴生書記長は、引き続き県や国に要求していきたいとした。

 この運動は全国組織、全日本教職員組合でも取り上げられ、2024年度の運動方針に、国の通知の撤回や任命権者(教委)の主体的な判断を尊重することを求めることが盛り込まれる予定。

 ザレブスキーさんは「全国に広がりつつあることは、うれしく思うと同時に驚いている。全国の外国籍教員のために、私もやっていきたい」。和高教の石原徹執行委員長は「このような不合理なことは、撤廃していきたい。当たり前の道理を実現していきたい」と話した。