和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月12日(木)

部長ら6人を「厳重注意」 八郎山トンネルずさん工事で和歌山県

八郎山トンネルの覆工コンクリート取り壊し(2023年12月)=和歌山県提供
八郎山トンネルの覆工コンクリート取り壊し(2023年12月)=和歌山県提供
 和歌山県道長井古座線の「八郎山トンネル」(串本町―那智勝浦町、711メートル)で発覚したずさん工事について、岸本周平知事は20日、県土整備部長ら職員6人の管理監督責任を問い「厳重注意」処分にしたと発表した。13日付。

 トンネル工事は県から請け負った淺川組(和歌山市)と堀組(田辺市)の共同企業体が実施。覆工コンクリート(内壁)のほとんどで厚さが不足していることが発覚。両社を昨年7月から6カ月の入札参加資格停止とし、全面的な改修工事を進めている。

 県は工事の進行状況に応じ、業者の要請に基づいて「段階確認」をすることになっているが「覆工コンクリート」工事について、業者側から要請が少なく、本来なら136回確認するところを6回しかしていなかった。これを受け、県は、担当職員への管理監督責任を問い、福本仁志県土整備部長ら同部と新宮建設部職員計6人を「厳重注意」とした。担当職員の処分はしなかった。

 今回の事案を受け、県の要綱を4月から改定し、入札参加資格停止の最長期間を6カ月から、12カ月にする。入札制度を見直し、工事の品質確保に必要な体制ができているかどうかを6月から評価に加えるとした。

 岸本知事は「段階確認ができていなかったことは県の体制に問題があった。県土整備部の業務が尋常でない量に達していてゆとりがなかった。業務量を見直していきたい」と話した。

 県は過去に淺川組が主として手がけた県管理道路のトンネル13本について、現場で覆工コンクリートの厚さが規定を満たしているか検査を進めている。