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2024年04月27日(土)

発達障害の夫と離婚、「面白い人」から「宇宙人」へ… “伝わらない夫”との子育てに抱いた 違和感

発達障害だった夫とはコミュニケーションがまったくとれず苦労したアゴ山さん(原作・原案:アゴ山/作画:鳥頭ゆば)
発達障害だった夫とはコミュニケーションがまったくとれず苦労したアゴ山さん(原作・原案:アゴ山/作画:鳥頭ゆば)
 「カサンドラ症候群」は発達障害の特性が見られるパートナーとの関係性に苦しんだり、重いストレスを抱えて身体的・精神的不調に陥るもの。アゴ山さんは結婚→妊娠→出産→子育て…と長きにわたり、パートナーと心が通わないと苦しんでいた。つき合っていた当時は気にならなかったというパートナーの特性。違和感のきっかけはどこにあったのだろうか。彼女が離婚に至るまでの経緯をあらためて振り返ってみたい

【漫画】「一生信用できない…」発達障害の夫が起こした“息子放置事件”とは

■伝わらない夫に苦悩する日々…出産を機に気持ちが変化

 SNSで話題となった漫画『夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話』。アスペルガー症候群の夫と暮らす妻(アゴ山)さんの経験を元に、連載されていたもので、同じように苦しい思いをしている人からも、共感を得ていた。

 漫画では、結婚前からの様子も描かれている。恋人の時からパートナーの行動や言動への違和感を持っていたというが、「もともと友人関係も長いのもあってか、変わった行動や変な性格はすべて『面白い人』とまとめていたこともあります」と、結婚することへの不安は感じていなかったという。

 「当時は元夫がとても好きだったので多少の短所は受け入れていたからです」と話す彼女だが、出産を機に少しずつパートナーへの気持ちも変わってくる。その一番が「子育て」だった。

「やはり子どものことで、意見がまったく合わなかったことです。手伝いなどの物理的なものではなく、子どもの気持ちや子育てでの相談事が伝えても伝わらなかったことが悲しかったです。悩み事もいくら話しても話しても伝わらない…。宇宙人と話しているような気持ちで、家族なのに孤独感がたくさんでそれがとてもつらかったです」

 アゴ山さんが「カサンドラ症候群」という言葉を知ったのは離婚の直前のことだったという。近年では“発達障害”という言葉と共に、だいぶ耳にすることも増えたが、「ここ数年~10年の間に認知され始めた言葉のようです。もっと早くに知れたのなら、当時はあそこまで苦しまなかったのかな…? と思いました」と、振り返る。

 実際に、漫画へは「うちも同じです!」と同じ経験をしている人からのコメントや反響が予想以上に多かったとか。
「それだけまだ『カサンドラ症候群』という言葉が認知されず、陰で苦しんでいる人がいるということですね」

 診断がついたことで心境の変化もあったという。
「初めて分かった時は、何か希望の新しい光を見たような、それくらい衝撃的でした。それまでずっと周りには理解されず、常に自己嫌悪に陥っていたのですが、問題の本質がようやく知れた気がしてとても救われた気持ちになりました」

 何度もパートナーとの関係を再構築しようと試みるが、話がまったく通じない。毎日パートナーと生活するのが苦しくてノイローゼ状態だったという。しかし、他人に言われるまで「離婚」の選択肢は出てこなかったという。

 最後は手紙で離婚の意思を伝えた。パートナーのことを理解してあげられず申し訳ないと思いつつも、「これ以上は一緒に暮らせない。離婚を希望している」と、気持ちを整理しながら箇条書きにした。
「離婚を決意した時は『大きな戦いがこれからあるんだ!』という感じで奮い立っていたので、希望が見えてキラキラしていたのを覚えています」

 「長い生活の中で、子どものことや乗り越えなければいけない障害を、お互い話し合い理解し合って乗り越えていけるような、そんな夫婦が理想でした」と話すアゴ山さん。

 離婚をして一番良かったことを聞くと「子どもがたくさん笑うようになってくれたこと」だという。ゲームやアニメなどを一緒に見て、同じところでゲラゲラ笑い合えることが家族の中で楽しい時間だという。
「子どもにとっては重たい考えなのかもしれませんが、私は子どものためなら命を投げ出せるくらい大事な存在です。子どもが産まれてから離婚後もそれは変わりません。それくらい私の人生を変えてくれ、支えてくれる一番の宝物ですね!」

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