和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年12月16日(月)

農業遺産の森育てよう みなべ町で親子植樹会

ウバメガシの苗木を植える親子(和歌山県みなべ町東神野川で)
ウバメガシの苗木を植える親子(和歌山県みなべ町東神野川で)
自分たちで拾い集めたドングリをポットに植える南部小学校の児童(みなべ町山内で)
自分たちで拾い集めたドングリをポットに植える南部小学校の児童(みなべ町山内で)
 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」に認定された森を育てようと1日、和歌山県みなべ町東神野川の山で、備長炭の原木であるウバメガシやカシを植える親子植樹会があった。


 みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会の取り組み。遺産を生かした地域活性化などを話し合う中、「世界農業遺産5周年記念イベントプロジェクト」チームが今回の植樹会を企画した。

 地元などから大人11人、子ども22人が参加。はじめに、同町清川の紀州備長炭振興館で、みなべ川森林組合の松本貢参事(57)が、備長炭の原木を守るため、製炭士が細い木を残す「択伐」をしたり、東京の炭問屋も原木を残していくための植林に取り組んでいることを紹介した。

 その後、参加者は植樹場所の、同町東神野川の「みなべ百年の森」に移動し、松本さんから、現場はかつて民間業者によるサーキット場の計画で切り開かれたが、旧南部川村が買い取り、100年かけて再生させようと植樹している場所だと説明した。

 苗木は、ウバメガシ150本、シラカシやアラカシ合わせて50本を用意し、親子は土を掘って丁寧に埋め、シカなどによる食害を防止するためのネットを張った。同町西岩代の横山延弘さん(40)は「みなべに住んでいるので、ウバメガシを大切に育てたい。子どもの成長とともに立派になればと願う」と話した。幸太朗君(7)も「大きく育ってほしい」と話した。

 プロジェクトチームのリーダー、田辺市秋津町、鈴木祐子さんは「皆で木を植えることで、難しいことではなくても、少しでも世界農業遺産のことを知ってもらい、遺産の継承につながればと思う」と語った。

■小学生がドングリ拾い ウバメガシの育成で

 みなべ町のみなべ川森林組合がウバメガシの森を育てようとする事業の一環でこのほど、南部小学校の4年生59人がウバメガシのドングリを拾ってポットに植える作業をした。初めてで、今後は地域住民にも取り組みが広がることを期待している。

 同校児童は毎年「緑育」として、森林組合の指導で広葉樹の苗木を山に植えてきたが、多くの子どもが作業できる場所がないことや、安全性などを考え、今回初めてドングリを拾ってもらうことにした。

 作業に当たっての事前学習として、森林組合の松本貢参事が学校に行き、森の働きや災害防止のためにも、海や川の魚が育つためにも森が大切なことを教えた。同町山内の千里観音周辺でドングリ拾いがあり、子どもたちは600個以上を拾い集め、半分くらいをポットに植えた。

 植え付けが終わっていないドングリは森林組合で植えて、植えたポットは同町清川の旧清川中学校で育て、一定の大きさになると山に植える計画。原木として利用できるようになるのは30年後くらいになるという。

 松本参事は「ウバメガシは備長炭の原木としてだけでなく、われわれの生活を守る大切な森。その恩恵を受ける地域住民として、皆さんにも育て、守る活動に参加していただきたい。地域全体に活動が広がり、続いてほしい」と話している。