和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月30日(火)

寄贈品一挙だし 開館55周年で和歌山・太地くじら博物館

くじらの博物館が開館55周年を記念し、寄贈品にスポットを当てて開いている企画展で展示されている大型鯨類の生殖器の剝製(和歌山県太地町で)
くじらの博物館が開館55周年を記念し、寄贈品にスポットを当てて開いている企画展で展示されている大型鯨類の生殖器の剝製(和歌山県太地町で)
 和歌山県太地町太地の町立くじらの博物館は、開館55周年を記念した企画展「一挙蔵出し!寄贈品展―くじらの博物館を支える資料たち―」を始めた。普段は収蔵庫に保管されている寄贈資料の一部を紹介するもので、今回初めて展示する品も多い。博物館の中江環副館長(43)は「一つ一つに寄贈者の思いや歴史があり、それも後世に引き継いでいきたい」と話している。

 くじらの博物館は1969年4月2日の開館。中江副館長によると、博物館には主に「資料の収集と保存」「調査・研究」「展示と教育普及」という三つの機能があり、中でも資料収集は博物館の基盤になっている。収集には一般からの「寄贈」が大きな役割を果たし、中江副館長が着任した2007年度以降でも約500点が寄贈されているという。

 今回の企画展では、初公開の品や寄贈に至った背景がユニークなものなどもあり、84点を展示している。かつて南極海で行われていた商業捕鯨に従事していた町民が仕事の様子などを撮影した8ミリフィルムは、実物を展示するとともにデジタル化して会場で上映もしている。

 北海道から寄贈されたという大型鯨類の雄性生殖器の剝製は全長124センチ、最大幅16センチ。家の梁(はり)に掛けられていたものといい、新築祝いとして知人の漁師からもらったと伝わるという。

 中江副館長は「もし身の回りの物を手放したり、整理したりする際に、博物館への寄贈や寄託を一つの選択肢として考えていただけるきっかけにもなれば」と話している。

 会期は来年4月1日まで。期間中に展示内容を変更することも考えている。

 問い合わせは、くじらの博物館(0735・59・2400)へ。