和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月13日(金)

「イノブタダービー」中止 飼育数減少が影響、和歌山・すさみ

盛り上がるイノブタダービー(2023年5月3日、和歌山県すさみ町周参見で)
盛り上がるイノブタダービー(2023年5月3日、和歌山県すさみ町周参見で)
 和歌山県すさみ町のすさみ海水浴場で毎年5月3日に開かれている「イノブータン王国建国祭」の名物イベント「イノブタダービー」が、今年は中止されることが分かった。主催の実行委員会は「イノブタの飼育数が全国的に減少しており、ウリボウ(イノブタの子)の確保ができなかった」と話し、来年以降の開催を目指すという。「建国祭」は開催する。


 建国祭は、すさみ町のパロディー国家「イノブータン王国」のイベント。祝賀パレードや飲食物の出店、各種体験などがある。今回で建国39周年を迎える。

 イノブタダービーは、砂浜に設置された1周100メートルの特設コースを、話題の人物にちなんで名前を付けた生後約3カ月のウリボウが走るイベント。会場で買い物をした人らに「豚券」を配って1、2着を予想してもらう。予想が当たった人には町特産品などを贈っていた。

 実行委によると、町内の畜産業者が半減し、県畜産試験場(すさみ町見老津)でも飼育数が減少しており、ダービーに適したサイズのウリボウが確保できなかったという。

 担当者は「皆さんが楽しみにしているイベントなので、来年に向けて早い段階から関係各所に声をかけ、何とか開催にこぎ着けたい」と期待を込める。

 イノブタは1970年、県畜産試験場が雄イノシシと雌ブタを交配させて開発した。81年から「イノブタの町」をPRしようと、町商工会青年部の手によってイノブタダービーが始まった。86年には「イノブータン王国」の建国を機に、建国祭のイベントとして組み込まれた。名物イベントとして人気を集めてきたが、コロナ禍の影響で2020年から建国祭が中止となり、昨年、4年ぶりに開催した。

■海水浴場でかくれんぼ

 建国祭では、イノブータン大王や王妃らによる祝賀パレードがある。午前11時に海水浴場駐車場をスタートし、砂浜にある特設会場に到着後、記念式典を開く。今年は競技として注目されている「かくれんぼ」を初めてイベントに取り入れた。体験の部(午前9時~正午)と競技の部(午後1時~3時)がある。定員はそれぞれ200人で、参加は無料。事前申し込みが必要だが、当日も若干名受け付ける。

 このほか、地元特産品を中心に販売する「なんでも朝市」(午前8時~午後3時半)▽イノブタ汁の振る舞い(午前8時~、先着500人)▽潮干狩り(午前8時~)▽シーカヤック体験(午前9時~午後3時、20分で1隻千円)▽ビーチフラッグス大会(正午から参加受け付け、午後1時から。無料)―などがある。

 問い合わせは、町商工会内の実行委事務局(0739・55・2293)へ。