和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月27日(土)

かき混ぜご飯の素視察 商品化のノウハウ学ぶ

いなみの料理広め隊の小田美津子代表(左)の話を聞くすこやか上富田推進協議会のメンバー
いなみの料理広め隊の小田美津子代表(左)の話を聞くすこやか上富田推進協議会のメンバー
 和歌山県印南町の郷土食かき混ぜご飯をレトルト製品として商品化させた、同町の女性グループ「いなみの料理広め隊」にこのほど、町外の団体が視察に訪れた。開発に至った経緯の他、原材料の確保と工程の一部をメンバーが担い製造工場に送っている過程を紹介した。

 白飯に混ぜるだけで、かき混ぜご飯が味わえる「かきまでご飯の素」は、2018年5月に発売。少子高齢化や共働きといった現代のライフスタイルに合わせ、調理の手間を省きながら古里の味に親しんでもらいたいと、約2年かけて商品化した。

 いなみの料理広め隊は50~70代の女性7人で活動。地域イベントに出店したり町内の学校の調理実習で指導したりし、郷土食の普及に努めている。

 視察は同町印南の町役場であり、上富田町の女性でつくる自主グループ「すこやか上富田推進協議会」のメンバー19人が訪れた。

 資料や写真を使い、いなみの料理広め隊のメンバーが説明。小田美津子代表が、行政の支援を受けながら商品化までこぎ着けたいきさつを話した。

 各家庭で伝えてきた郷土食を規格の決まった製品にした経過について「地域ごとに異なる味から一つのレシピを定めた」といった試行錯誤をしたことにも触れた。

 製造工程では発売以来、原材料の下準備をいなみの料理広め隊が町内の加工場で担当。そのレシピに基づき、調味とレトルトパウチは、大阪府南部の工場で企業が担っている。

 町内の加工場では、サバを焼き、具にする身をほぐす▽サバの頭や骨でだしを取る▽油揚げや野菜類をさいの目切りにする―といった作業を、2カ月に1度メンバーが集まり行っている。原材料の多くを町内産や周辺地域産で賄っているため、安定したサバの確保といった工夫点についても話した。

 御坊・日高のスーパーマーケットや産直店、高速道路のサービスエリアの他、県内に展開する産直チェーンの和歌山市や岩出市の店舗で販売しており、他の店舗からの要望で販路を拡大していることも伝えた。
試食しながら質問


 すこやか上富田推進協議会のメンバーは説明を聞いた後、製品を使ったかき混ぜご飯を試食した。参加者は「おいしい」などと感想を口にし、いなみの料理広め隊メンバーに取り組みについて質問するなどして情報交換。同協議会は、炊き込みご飯の独自のレシピがあり、市販する上での苦労や工夫について聞いた。

 同協議会の木本千代子会長は「ご飯に混ぜるだけで味わえるのはとても便利。地元の人が作っている安心感もある」と話した。

 小田代表は「かき混ぜご飯を簡単に味わえる形にするのは、個人的には30年来の念願だった。行政の協力をお借りしながら実現することができた。採算面ではまだまだだけれど、協力して続けていきたい」と話している。