和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年06月27日(月)

ビジネス、課題解決に力 「関係人口」から提案続々

ビジネスプランを発表する地元事業者と首都圏企業の若手管理職ら(田辺市新庄町で)
ビジネスプランを発表する地元事業者と首都圏企業の若手管理職ら(田辺市新庄町で)
田辺と関わるプランを発表する「たなコト」の受講生(東京都で)
田辺と関わるプランを発表する「たなコト」の受講生(東京都で)
 田辺市の「関係人口」から、新たなビジネスが生まれようとしている。自分の技能を地方で生かしたい、第二のふるさとが欲しいという都市部の青年が、地域課題解決の事業を提案し、形にしようと動き始めている。

■首都圏企業と連携

 田辺市新庄町のビッグ・ユーで3日、地元事業者と首都圏企業の社員が連携して考案したビジネスプランの発表会があった。

 県が企画し、首都圏企業14社6業種の若手管理職15人が参加。昨年10月から講義やフィールドワーク、市の人材育成事業「たなべ未来創造塾」の修了生との交流を通じ、3班に分かれてプラン作りを進めていた。

 田辺市の食品卸売業、森川真帆さん(34)と共同したチームは、地元産のミカン果実が入ったアイスを試作した。顧客を20~60代の女性観光客とし、価格を320円に設定した。

 東京都の製造業で新規事業企画を担当する要雄喜さん(39)は「地域の活性化につなげたい森川さんの思いと、利益を優先する私たちが、ゴールを共有する過程が大変だった。味についても意見が分かれ、試作ができたのは2週間前。満足のいく仕上がりになった」と手応えを感じている。

 森川さんは「メンバーは、アイデアを形にする推進力がすごい。ニーズの調査やターゲットの絞り込みなど、勉強になった。工場での商品化ではまだ課題があると思うけれど、みんなの存在は心強い」と話した。

 他のチームは、表具店の新事業開発や虫食い材の商品開発、販売展開について発表した。

■地域との関わりさまざま

 田辺市が首都圏在住者を対象に開講している関係人口養成講座「たなコトアカデミー」の第2期修了式が1日、東京都内であった。受講生12人がそれぞれ、田辺と関わる事業案を発表した。

 講座は昨年9月に開講。受講生は講義を受けたり、田辺市でフィールドワークをしたりして、事業案を練ってきた。

 東京都のウェブ制作会社に勤める定塚仰一さん(26)は「田辺に根差す生活文化を体感し、ユーチューブ(動画投稿サイト)を通じて世界に発信したい」、神奈川県の医療コンサルタント会社に勤務する阪本美季さん(37)は「農家の繁忙期など人手のニーズを取りまとめ、田辺で活動をしたい人をマッチングする仕組みをつくりたい」と語った。

 ほかにも田辺の高校生が地域の魅力を体験するプログラムや、田辺の食材を事例にし、普段捨てられている部分を使ったフードロスのイベントなどの提案があった。すでに動きだしているプランもある。

 真砂充敏市長は「関係人口の一人一人が、それぞれさまざまなつながりを持っており、今後の広がりが期待できる。地域課題の解決は、仕事と休暇を組み合わせたワーケーションの促進にも生かせる」と話している。

【関係人口】
 移住した「定住人口」と、観光に来る「交流人口」の中間。人口減少が進む自治体では地域づくりの担い手として期待している。将来の移住者につながればいいという思惑もある。都市部の住民には生き方の選択肢の一つとして人気がある。