和歌山県田辺市の本宮町や中辺路町で２３日、地域の文化祭や熊野古道に関連した催しがあり、多くの人が参加して活気づいた。

■６年ぶり公演に歓声
復活の「三里劇団」

　田辺市本宮町伏拝にある本宮公民館三里分館で恒例行事の「三里文化祭」があり、地域で活動する「三里劇団」が６年ぶりに芝居を披露した。舞台の上で繰り広げられたコミカルで迫力のある演技に、会場からは笑い声と大きな拍手が送られた。

　約４０年の歴史を持つ劇団。三里文化祭などで公演してきたが、コロナ禍や高齢化に伴うメンバーの減少で２０１９年に披露して以降は活動を休止していた。

　６年ぶりとなる復活公演を飾ったのは「木曽節三度笠」という時代劇。地元民やＩターン者、三里小教員が役者を務め、今月上旬から稽古を重ねてきた。

　舞台は笑いあり、迫力のチャンバラありと盛りだくさん。鑑賞した女性（７５）は「ずっと見たいと思っていたのでうれしい。皆さんすごく上手で、とても良かった。来年もぜひお願いしたい」と話した。

■米の「たこ焼き」販売
本宮中３年生

　会場では軽食の販売もあり、本宮中学校３年生１２人は米を使ったたこ焼き風の食べ物「こめまる」を販売した。

　ふるさと学習とキャリア学習を兼ねた取り組み。町内産の米を活用し、専門家にアドバイスを受けながら取り組んだ。

　「こめまる」の中にはちくわやツナ、のり塩チップスといった具材が入っており、中岸栞菜さん（１４）は「お客さんにおいしいと言っていただけたし、売れ行きも予想以上でうれしい」と笑顔を見せた。

■古道の玄関にぎわう
初開催の「瀧尻まつり」

　田辺市中辺路町栗栖川にある熊野古道「滝尻王子」周辺では「瀧尻まつり」（実行委員会主催）が初めて開かれた。伝統芸能の披露や軽食の販売などがあり、「熊野三山の聖域の入り口」といわれる古道の玄関口がにぎわった。

　滝尻王子の魅力を広く発信したいとの思いで集まった住民らが、地域の活性化を目的に開いた。

　会場では県指定無形民俗文化財「野中の獅子舞」や地元で活動する「なかへち清姫太鼓」などが披露された。そばを流れる富田川産アユの塩焼きやスイーツなどの販売、ワークショップといった催しもあった。

　家族３人で訪れた同市秋津町の男性（３７）は「子どもに獅子舞を見せたくて遊びに来た。面白かったし、アユの塩焼きもおいしい」と笑顔を見せた。

　実行委員会の木田豪委員長（５５）は「多くの方に来場いただき、大変うれしい。皆さんのご協力で無事に開催できた。年々盛り上がるように頑張っていきたい」と話していた。