和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年06月04日(木)

古城梅の収穫量 平年の半分、JA紀南管内

ほとんど実っていない古城の木を見上げる農家。「こんなことは初めて」と嘆く(和歌山県田辺市上芳養で)
ほとんど実っていない古城の木を見上げる農家。「こんなことは初めて」と嘆く(和歌山県田辺市上芳養で)
 今季の梅は不作傾向で、とりわけ「古城」の収穫量が平年の半分となることが予想されている。過去20年間で最少だった昨年をさらに下回りそうだ。平年の1割ほどしかないという農家もいて「こんな不作は初めて」と嘆いている。


 和歌山県のJA紀南梅部会の予想では収穫量は288トンで、平年の47%となる見込み。過去20年間で見ると、これまで最少だったのは昨年の366トンで、今季はそれの約2割減となる見込み。

 20年間での最多は2001年の1883トン。その後、徐々に減りながらも千トン以上を維持していたが、07年に673トンまで落ちた。増減の変化は激しく、12年以降は500~700トン台で推移したが、昨年は前年の半分近くまで落ち込んだ。

 栽培面積が徐々に減ってはいるが、作柄が収穫量に大きく響いている。

 古城を栽培する田辺市新庄町の田中文夫さん(59)は「平年の1割ほどしかない。20年以上作るが、こんな不作は初めて。全体的に老木がほとんどなっておらず、若木でも悪い木がある」と嘆く。1本の木でも大きい実と小さい実があり「実のつき具合が例年と違う」と不思議がる。

 古城の発祥の地である同市長野の竹内豊さん(80)も「収穫を始めたばかりだが、平年の1、2割ほどしかないだろう。老木も悪いが、昨年まではある程度なっていた木も今季、ほぼない状態なのに驚く」という。

 県果樹試験場うめ研究所(みなべ町東本庄)は、不作の要因について「南高と同じように、暖冬で開花が早かったことで花が不完全だったのに加え、ミツバチなどの虫があまり飛ばず、さらに葉が出るのが遅かったことで十分に養分をためることができなかったことが影響したのではないか」としている。

 ここ数年の不作傾向については「梅の収穫量は、樹齢20年ぐらいをピークに落ちる。老木が増えているのが影響していると思われる」という。

 古城は、梅酒や梅ジュースの加工用として人気の品種で、主に青梅で市場に出荷される。平均単価は主力品種の「南高」よりも高く、かつては「青いダイヤ」と呼ばれた。

 竹内さんは、長野などの農家有志でつくる「長野古城梅振興会」の代表でもあり「南高や梅干しに偏り過ぎずに、さまざまな品種や加工が必要。梅酒人気も高まっており、古城を守っていきたい」と話す。

■過去10年間で最も高値

 不作の古城が高値となっている。

 JA紀南販売課によると、今週から全国の市場に出荷が始まり、市場価格は1キロ当たり平均830円で、過去10年間で最も高くなっている。これまで高かったのは、期間を通してだが、2012年の635円と19年の634円。いずれも市場への出荷量は少なかった。今季はそれより3割高くなっている。

 高値について竹内さんは「農家にとって高値はありがたいが、売る梅がほとんどないのでつらい」と話す。