和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年06月15日(火)

オンラインで梅ジュース作り みなべの会社が体験観光試行

ウェブを使って説明を聞きながら、梅ジュースを作る参加者(和歌山県御坊市湯川町で)
ウェブを使って説明を聞きながら、梅ジュースを作る参加者(和歌山県御坊市湯川町で)
氷砂糖、きび砂糖、コンペイトーを使う梅ジュース作り
氷砂糖、きび砂糖、コンペイトーを使う梅ジュース作り
 新型コロナウイルス感染の終息が見通せない中、体験型観光をオンラインで提供する試みが和歌山県の日高地方で始まっている。梅の実を使った加工体験を遠隔でできるプログラムを確立し、団体旅行向けにPRする。管内で体験型観光誘致を進める組織も協力、オンライン体験型観光の可能性を探っている。

 取り組みを始めているのは梅干し会社梅翁園が運営する紀州梅干館(みなべ町山内)。国道沿いにある工場は見学施設にしており、来館者に梅干しの生産を見学してもらっている他、梅ジュースや梅干し、梅酒づくりの体験教室を催している。

 新型コロナの感染拡大が始まって以降、インバウンド(訪日外国人観光客)をはじめ、国内から観光バスで訪れるツアー客が激減。体験教室は9月から再開させているが、団体客の予約はない状況という。

 一方、教育旅行をはじめとする体験型観光を広域で推進していこうと、今年2月に発足した印南と由良、日高川の3町の団体などによる官民連携の協議会も活動計画を再検討している。

 当初は、増えつつあったインバウンドや修学旅行といった大人数の利用客を地域全体で受け入れることなどを狙いとしてきたが、新型コロナが拡大。オンラインでの活路を模索する紀州梅干館に協力することで、それぞれが有する体験型観光に応用できるかを検討することにした。

 梅干館はこのほど、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使った体験プログラムを試行し、協議会メンバーが体験する側として参加した。

 協議会メンバーが日高振興局(御坊市湯川町)に集まり、梅干館とシステムでつないだ。梅干館からは同館のインストラクターが、工場内の見学用通路を歩きながら、梅干しを生産している様子を解説した。

 引き続き、梅ジュース作りをインストラクターが紹介。用意しておいた材料を使って、協議会メンバーが振興局で映像を見ながら、実際に梅ジュースを作った。

 体験したメンバーからは「自分たちの体験プログラムでもオンラインを試してみたい」などの感想があがった。一方、ウェブやシステムを使いこなすことができるかといった声もあった。

■オンラインはコスト考慮

 紀州梅干館では通常、見学施設の上の階にある大広間で体験教室を開催。梅ジュース、梅酒、梅干しをつくる3種類の体験のうち、オンラインでは梅ジュース作りに限定する。事前に材料を送付しておく必要があるためで、梅酒ではホワイトリカーといった酒類をやりとりする上で規制がある他、梅干しは、漬けるための調味液を送付するコストが割高になるためという。

 梅ジュース作りの工程は、冷凍した梅を透明の容器に入れ、上から砂糖を加えてふたをすれば完了する。そのまま持ち帰り、およそ10日後に飲み頃になれば、好みの濃さに薄めて味わえる。通常は氷砂糖、きび砂糖、コンペイトーの3種類から2種類を選んでもらっているが、オンラインではコスト面から氷砂糖ときび砂糖を送付する。

 日高振興局と紀州梅干館をつないだ試行では、通信状態が不安定になり音声が途切れるなど、オンライン特有の欠点も明らかになった。同館は試行を踏まえてオンライン対応プログラムとしてまとめ、独自に旅行会社へアピールしていくという。

 梅翁園営業第一部の中西秀孝係長は「対面での体験のようにいかない部分もあると思うが、新型コロナによる制約がある状況でも、みなべの梅の魅力に触れてもらいたい」と話している。