和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月12日(木)

3カ所にチリ地震津波碑建立 田辺市新庄公民館のサークル

新庄公民館の敷地内に建てられたチリ地震津波碑と碑の説明板(和歌山県田辺市新庄町で)
新庄公民館の敷地内に建てられたチリ地震津波碑と碑の説明板(和歌山県田辺市新庄町で)
1960年のチリ地震で押し寄せた津波によって浸水した田辺市新庄町跡の浦(玉田伝一郎さん提供)
1960年のチリ地震で押し寄せた津波によって浸水した田辺市新庄町跡の浦(玉田伝一郎さん提供)
 和歌山県田辺市新庄町、新庄公民館のサークル「新庄の歴史に親しむ会」(岡崎美次会長)は、新庄町内の3カ所にチリ地震津波碑を建てた。「チリ地震津波の碑」の文言のほか、チリ地震で発生した津波の到達地点と潮位を示している。親しむ会は「大きな揺れを感じない津波もあることを伝えたい」としている。


 チリ地震は1960年5月、南米チリのサンティアゴ沖を震源に発生。地震の規模は世界最大規模のマグニチュード9・5とされている。

 地球の反対側で発生したこの地震による津波は、24日の明け方ごろに日本の太平洋岸に押し寄せた。

 田辺市では新庄町を中心に500戸を超す民家が床上・床下浸水し、大量の木材や木炭が流失した。橋や道路も流失・決壊し、田畑も冠水するなど多くの被害が出た。

 今年がチリ地震による津波から60年の節目に当たるため、会が碑の建立を計画し昨年から準備を進めていた。

 津波碑は45センチ角の白御影石製、高さ約110センチ。新庄公民館と橋谷会館、波止場大師堂出井地区集会所の各敷地内に設置した。公民館の碑には別にチリ地震を解説した説明板も付けた。事業費(約80万円)には市の補助金と新庄愛郷会からの助成金を充てた。

 この会は、活動の一環で2018年に公民館管内にある記念碑66基を網羅した冊子「新庄地域の記念碑―石碑を中心として」(新庄公民館発行)を編集している。この冊子には宝永、安政、昭和の各南海地震によって発生、襲来した津波の潮位を示した津波碑19基も収録。いずれも国土地理院のウェブ地図に掲載されており、今回追加した3基も掲載を申請する考えだ。

 会の繁行良一さん(82)は「大地震があると津波が来ると伝えられているが、チリ地震津波は、地震という前触れもなく私たちの地区を突然襲ってきた。こういう特殊な津波があることも知っていただき、改めて津波に関心を持ってもらえたら」と話している。