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人気カレー店の閉店に「待った」 〝相棒〟の米穀店が継ぐ

南岡敏夫さん(右)からカレー店を引き継ぐ田上雅人さん=和歌山県田辺市新屋敷町で
南岡敏夫さん(右)からカレー店を引き継ぐ田上雅人さん=和歌山県田辺市新屋敷町で
 後継者不在で5月28日に閉店した和歌山県田辺市新屋敷町のカレー店「れんが屋」を、米穀・炊飯販売会社「たがみ」(田辺市湊)が引き継いだ。店舗もレシピも譲り受け、26年間親しまれてきた味を守る。後継者がいないため廃業を考えている事業者は相当数あるとみられ、課題解消の一つの形として注目されている。

 れんが屋は南岡敏夫さん(73)、恵子さん(71)夫妻が1995年に創業した。カウンターとテーブルで12席の小さな店。野菜がたっぷりの欧風カレーが自慢で、20年以上通う常連も多いという。観光や出張のたびに訪れる県外ファンも少なくない。

 敏夫さんは料理人歴50年以上。米国ニューヨークのステーキ店で勤務した経験もある。兵庫県伊丹市で洋食店を経営していたが、阪神大震災で被災したのを機に、以前からたびたび遊びに来ていた紀南に移住。その年の5月に開業した。

 経営は順調だったが、70歳を過ぎて体力的にも厳しくなり、コロナ禍もあって閉店を決めた。ただ、周囲から惜しむ声が多く、引き継いでくれる人を探していた。

 そこで、有力候補に挙がったのが、創業時から取引のあった「たがみ」。専務の田上雅人さん(50)は「コロナ禍でもあり迷ったが、思い出のある店がただ閉店するのは、あまりにもったいない」と事業承継を決めた。

 レシピや仕入れなどの引き継ぎは済ませ「カレーの味はこれまでと変わらない」と田上さん。ランチの時間帯に店を手伝いながら、運営の手順も学んだ。南岡さん夫妻は「業種が違っても同じ商売人で、サービス精神旺盛。安心してお任せできる」と太鼓判を押した。

 再オープンは10日。当面はランチ営業(午前11時~午後2時)のみ。テークアウトにも力を入れたいという。

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