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探していた「先代」確認 河内祭の御舟彩る幕

御舟の古い幕を広げる関係者(和歌山県串本町古座で)
御舟の古い幕を広げる関係者(和歌山県串本町古座で)
 和歌山県の串本町と古座川町を流れる古座川下流域を舞台に毎年7月下旬に営まれる国重要無形民俗文化財「河内祭(こうちまつり)」の御舟(みふね)に飾り付ける幕で、85年前に制作されたとみられるものが見つかった。30年近く前に新調された現在の幕の前に使っていた「先代」で、古座川河内祭保存会(杉本喜秋会長)では以前から所在を探していたという。確認した専門家は「大変に貴重」と話している。

 河内祭は、古座川の河口から約3キロ上流にある河内島をご神体として祭る5地区(串本町古座、同町古田、古座川町高池下部、同町宇津木、同町月野瀬)の例祭。「河内様」の神が宿るという神額を運ぶ重要な役目を担う御舟の水上渡御が大きな見どころで、御舟を豪華に飾り付ける幕は、王朝絵巻の図柄などが表現されているといわれる。

 御舟は「上」「中」「下」の3隻あるが、2012年に「上」の幕が焼けてしまい、担い手不足も加わって13年からは2隻になっている。

 杉本会長(75)によると、現在の幕は、いずれも古い幕を基にして1995年に新調。古い幕については杉本会長らが探していたものの所在が分からなかったが、今年6月上旬、串本町古座にある御舟を保管している倉庫の中を改めて探したところ見つかったという。

 古座にある古座漁村センターに6月29日、関係者が集まり、今回見つかった幕を初めて広げた。

 舟の側面を飾る幕の大きさは縦約64センチ、横約890センチ。片側3枚で「中」「下」については両面に張られる計6枚がそれぞれ見つかり、幕が制作された年とみられる「昭和十二年」(1937年)という文字も記されていた。

 一部が焼けてしまった「上」の幕についても、半分ぐらいしかない1枚を含めて計4枚を確認。「中」「下」と生地の厚みが異なっており、制作年が違う可能性もあるという。このほかに「中」と「下」については御舟の前や後ろにつける幕もあった。

 確認に訪れた県教委文化遺産課の藤森寛志主査は「日焼けで色落ちしており状態は良くないが、昔から伝わってきた制作技術の一端を垣間見ることができる貴重な資料。特に『上』の幕が出てきたことは、今後、焼けた幕を修復する機会があればその材料になるので大変うれしい」と話した。

 杉本会長は「長い間探していたので、見つかって非常にうれしい。もし今の幕に何かあった時に代用できる。大変貴重なものなので、津波の被害に遭わないように漁村センターの3階で大切に保管していきたい」と話していた。

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