和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月11日(月)

サイクリング事業学ぶ 田辺市龍神村商工会青年部

自転車を活用した地域おこしについての勉強会(和歌山県田辺市龍神村西で)
自転車を活用した地域おこしについての勉強会(和歌山県田辺市龍神村西で)
 和歌山県田辺市の龍神村商工会青年部(玉置直樹部長)はこのほど、同市龍神村西の龍神行政局でサイクリングの勉強会を開いた。上富田町を拠点に地域活性化に取り組む一般社団法人「紀州くちくまの未来創造機構」の自転車ツーリズムチームリーダー、瀬戸陽子さん(52)の講義を聴いた。

 同青年部は、自転車を使った地域活性化を目指して2014年度からサイクリング事業に取り組んでいる。自転車で走って龍神村の魅力を味わってもらい、宿泊、飲食店、産品販売店の利用につなげることが目標。これまでに、県外の先進地を視察したり研修会を開いたりしてきた。現在は、龍神観光協会が行っている3カ所のレンタサイクル事業のうち1カ所を委託を受けて運営している。

 本年度は経済産業省の補助金を得ることができたこともあり、事業を進める上で、実際に貸自転車の観光旅行について運営面での知識を深め、今後の取り組みに生かそうと勉強会を開いた。

 紀州くちくまの未来創造機構は、上富田町内に自転車を貸し出すサイクルステーション「KMICH(クミッチ)」を設けて自転車ツーリズム事業を展開。自転車で熊野地方を一周する「クマイチ」を提案して地域振興を図り、広域連携による関西三大サイクリングロードとしての定着を目指している。

 瀬戸さんは、クマイチ構想の目的や実際に取り組んでいる事業について説明。新型コロナウイルス感染症の中でも、自転車による健康増進や地域振興ができると話し、季節ごとの観光旅行プランを提案していることを紹介した。

 事業の推進に当たり、クマイチのエリア内にある自治体との連携を進め、観光旅行プランの共同開発や観光情報の発信などに広域で取り組んでいることを強調した。

 他に、日帰りの体験サイクリング、仕事と旅行を組み合わせたワーケーションで自転車を活用してもらう事業、吉野熊野国立公園を巡る電動自転車の旅を計画していることも話した。

 事業を進める上で重要なこととして、利用者の安全が第一▽周りの風景すべてが観光資源となり、食やカヌーなどの他の体験を絡ませる▽スポーツサイクリングと観光サイクリングは客層が異なるので目的を明確にする▽地元の業者や国や自治体との連携が大切▽コース設定に当たって地元のサイクリストを仲間に入れ、サイクリング初心者の意見を大切に―などを挙げた。

 青年部の玉置部長(40)は「龍神村の自然や観光資源などを生かした独自のツアーを考えていく上で、瀬戸さんの話は参考になった。今後、サイクリングマップを作り直すなど事業を進めていきたい」と話した。