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2024年10月05日(土)

「コロナ禍前より減収」6割超 12月の和歌山県内企業調査

和歌山県庁
和歌山県庁
 和歌山社会経済研究所は、昨年12月に県内企業を対象に実施した景気動向調査の結果をまとめた。2021年10~12月の売上高がコロナ禍前の19年10~12月と比べて、「減収」となった事業者は6割を超えた。

 調査はアンケートで建設業、製造業、商業、サービス業の計2千社を対象にした。12月2~21日に行い、576社(和歌山市236、紀北135、紀中80、紀南125)から回答があった。

 自社の景況が良いとみる企業の割合と、悪いとみる企業の割合の差を「県内景況BSI」として分析すると、21年10~12月の景況BSIは7~9月と比べて全ての産業で上昇し、全体では11ポイント上昇した。この時点では新型コロナの「第5波」が収束に向かい、人流が増加し、小売業、サービス業の景況BSIが大きく上昇した。

 ただ、21年10~12月の売上高は、コロナ禍前の19年10~12月期と比べると、コロナ禍前の売上高を上回った事業者が36・4%だったのに対し、下回った事業者は63・6%を占めた。

 業種別にみると、コロナ禍前の売上高を下回った事業者は衣料品小売業、飲食料品小売業、旅館・ホテル業、生活関連サービス業、繊維製品製造業、鉄鋼・金属製品製造業などで多かった。

 21年10~12月の収益状況は「収支トントン」が36・1%で最も多く、「黒字」32・2%、「赤字」26・0%。7~9月と比べると「黒字」事業者の割合が減り、「収支トントン」事業者の割合が増えており、厳しい経営環境がみえる。

 コロナ禍で販売先や顧客のニーズが変化したかどうかの質問では、「大きく変化」「やや変化」と回答した事業者が合わせて60・2%を占めた。変化したと答えた事業者に、変化はコロナ後も続くか質問したところ、「継続」「一部継続」の回答が計72・8%あった。飲食料品卸売業や衣料品小売業、生活・文化用品小売業などで「継続する」「一部継続」の回答が多かった。

 コロナ禍で新たに始めた事業の有無についての質問では、「ない」が78・1%で、「ある」や「今後予定あり」が計21・9%だった。直近1年間で業務効率向上のため、業務内容ややり方、手順などの見直しを行ったかどうかの問いでは、「見直した」が35・9%と最多。一方で「見直したいができていない」は29・4%あった。

 研究所によると、今年1~3月の景況BSIは下降する見通し。調査実施後、物価上昇はさらに進み、新型コロナ変異株の感染が拡大し、先行き不透明感が高まっており、商業、サービス業に限らず、幅広い産業で業況が悪化することが懸念されるとしている。