和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月19日(日)

94人入学、全国からは12人 串本古座高、「宇宙探究」も後押し

新入生を代表して宣誓をする清野直人君(和歌山県串本町串本で)
新入生を代表して宣誓をする清野直人君(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県串本町串本の串本古座高校(榎本貴英校長)で10日、入学式があった。新入生は前年度(52人)より大きく増えた94人で、このうち全国募集では過去最多の12人が入学。全国募集は前年度の2倍になっており、同校は来年度に設置が予定されている「宇宙探究コース」も追い風になっているとみている。


 入学式は同校第1体育館であり、コロナ禍のため、新入生と保護者、教職員のみが出席した。

 新入生は担任から名前を呼ばれると「はい」と返事をして起立し、榎本校長が入学を許可。式辞では榎本校長が「入学おめでとうございます。どうか高校生活の中で、自分の好きなことを見つけ、目標を早いうちに立ててください。目標が高ければ高いほど、頂を目指す心構えや意識が違ってくる。皆さん、これから一緒に頑張りましょう。今日の喜びと感激を忘れず、自らを高めて有意義な高校生活を送ることを期待しています」などと呼びかけた。

 新入生代表の宣誓は、串本西中学校出身の清野直人君(15)が務め「学業に専念し、串本古座高校が掲げる『進取創造』『質実剛健』の校訓を大切にし、自覚を持って新たな伝統をつくり上げていくよう努力します」と決意を述べた。



 同校の全国募集は、県内公立高校の本校としては初めての取り組みとして2017年度からスタート。22年度はこれまでで最も多い6人が入学したが、今回は12人。地域別に見ると、関西が6人、東海が1人、関東が5人だった。

 榎本校長は「全国募集をしている学校が集まる『地域みらい留学』という取り組みがあって都市部で合同説明会を開くなどしてきたが、コロナ禍の影響でリモートが学校説明の主体になったことで参加しやすくなり、より多くの学生に知ってもらうことができた。豊かな自然も生かした『地域まるごとキャンパス』という串本古座高校の取り組みもずいぶん認められてきた」と分析する。

 同校では、民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」が同町田原にできたことを機に、宇宙について専門的に学ぶ「宇宙探究コース」の設置が24年度に予定されており、そのことも増加を後押し。榎本校長は「今年の全国募集でも、何人かは宇宙探究コースができるというニュースを見たのがきっかけと言っていた。宇宙に興味があると話している生徒もいる」と話す。本年度の新入生も、1年生の時に「総合的な探究の時間」で宇宙について何回か学ぶ他、2年生からは、グローカルコースを選択した生徒については「『宇宙』に関する科目」を受けることができるという。

 また、同校を選ぶ地元の生徒も増えており、榎本校長は「21年度の卒業生が8人、22年度の卒業生も7人が国公立に進学しており、そういう進路実績や無料の校内学習塾『くろしお塾』の取り組み、生徒の活動などを見ていただけたのではないか」と話している。