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2024年10月05日(土)

【動画】「令和の熊野詣」始まる 京都・城南宮で出立式、世界遺産20周年

熊野御幸を再現する「令和の熊野詣」の出立式で、城南宮を出発する行列(京都市伏見区で)
熊野御幸を再現する「令和の熊野詣」の出立式で、城南宮を出発する行列(京都市伏見区で)
 和歌山県は9日、平安時代から上皇や貴族らによって行われた「熊野御幸」を再現する「令和の熊野詣(くまのもうで)」の出立式を、京都市伏見区にある城南宮で開いた。熊野御幸の行列には、岸本周平知事や熊野古道にゆかりの深い俳人・黛まどかさんら関係者のほか、募集した一般参加者の計約70人が参列。古式ゆかしい儀式で、来年迎える「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を盛り上げた。


 城南宮は平安遷都の際、都の南に国の守護神として創建され、平安後期、周囲に白河上皇が院政の拠点として城南離宮(鳥羽離宮)を造営。歴代上皇らによって盛んに行われた熊野御幸では、この場所で身を清めて道中の無事を祈願し、熊野まで片道約300キロの旅に出た。

 県は世界遺産登録20周年を記念して古記録に基づいた「熊野詣出立の儀」を再現することにし、岸本知事が上皇役、黛さんが女院役を務めたほか、一般参加者約40人も古式にのっとった白装束で行列に加わった。

 儀式では「浄衣」と呼ばれる白い装束に身を包んだ岸本知事と黛さんが社殿に着座。陰陽師(おんみょうじ)が中臣祭文(なかとみさいもん)を奏上する中、2人は縄を解いたり、人形(ひとがた)で体をなでたりする作法をした。続いて熊野三山などへの供え物が納められた「神宝辛櫃(しんぽうからひつ)」や上皇、女院をおはらいし、女院は市女笠(いちめがさ)を着用。上皇と女院に道中使用するヒノキのつえが手渡され、北面の武士を先頭に、先達や辛櫃を担ぐ白丁、上皇、女院、山伏らが続く御幸行列を整えて出立。研修に訪れた語り部や一般の参拝者が見守る中、数百メートルを練り歩いた。

 終了後、黛さんは「とても厳かな気持ちになった。歴代上皇を引き付けてきた力や魅力を改めて実感した」。岸本知事は「来年の20周年を一つの目安にして県民として素晴らしい和歌山に誇りを持ってもらい、一人一人が宣伝大使となって友達やいろんな人を和歌山に呼んでいただきたい」と呼びかけた。

 熊野御幸では本来、城南宮の近くから川船に乗り込んだが、当時と地形が変わっていることから、参加者は今回、城南宮から18キロほど離れた「枚方船着場」まで車で移動。川船に乗り、熊野九十九王子の第1王子である窪津王子に近い場所まで淀川を下った。

 夫と参加した大阪府富田林市の西村弘美さん(57)は、これまでに紀伊路と伊勢路以外の熊野古道を踏破しているといい「貴重な体験をさせていただいた。今後全ての道を踏破したい」と意気込んだ。

■リレーウオーク 17日から全8回

 令和の熊野詣では、熊野古道紀伊路を大阪市からみなべ町まで全8回で歩くリレーウオークを17日から始める。来年3月までで、参加費は各回一人2千円。専用ウェブサイト(https://sp-ad.jp/reiwanokumanomoude/)で申し込みを受け付けている。