和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月16日(水)

野菜の消毒もドローンで 和歌山・みなべ町の団体が試験散布、農家の負担軽減目指す

ドローンを使って野菜に農薬を散布する梅侍防除組合のメンバー(和歌山県みなべ町東吉田で)
ドローンを使って野菜に農薬を散布する梅侍防除組合のメンバー(和歌山県みなべ町東吉田で)
 ドローン(小型無人機)を使った消毒の請負サービス事業をする、和歌山県みなべ町の「梅侍防除組合」(高田行洋代表、7人)は、これまで水稲だけだった対象作物を野菜に広げる。このほど、町内で栽培が比較的多いキャベツやブロッコリーに試験的に実施した。効果が確認できれば、町内外の農家にアピールしたいという。

 消毒の請負サービスは、担い手や労働力不足が深刻化している農業が少しでも省力化になればと2021年から、水稲で始めた。活動が軌道に乗ってきたこともあり、全国的に広がりつつある野菜でも、請負ができるよう準備を進めている。野菜は水稲の裏作で栽培しているケースが多く、田んぼの保全につながることも期待しているという。

 試験的な散布は、農家の協力を得て同町東吉田の畑でした。同じ農家が隣接する畑で同じ野菜を栽培しており、そこでこれまで通りに手作業で消毒をしてもらい、効果を比較するという。

 組合によると、ドローン散布は、省力化だけでなく、農薬が少量で済むことでコストを抑えられるというメリットがある。しかし、少量のために野菜全体にかかるのかといった心配がある。

 組合事務局長の中本憲明さん(54)は「キャベツやブロッコリーの表面は水をはじくので、少ない量の農薬でも効果があるのか見てみたい」という。試験に協力した片岡建二さん(51)=みなべ町芝=は「消毒作業は最近、楽になったが、もう少し楽にできればと思う。今季は虫の被害が多いので、効果を期待したい。採用するとなればランニングコストも気になる」と話す。

 組合が水稲への消毒で請け負った田んぼの面積は21年が5ヘクタール、22年が10ヘクタール、23年が17ヘクタールと、年々増えている。野菜への消毒にも効果があれば、水稲と同じように広めていきたいという。梅については、現時点では農薬に課題があり、将来的に考えていきたいという。

■レンゲの種子まく

 同組合は、レンゲソウ(マメ科)を増やそうと11月中、協力してくれた農家の田んぼにドローンを使って種子をまいた。花は3月下旬に咲くとみられる。

 みなべ町で栽培が盛んな梅「南高梅」の花の受粉にはミツバチの助けが欠かせないことから、レンゲソウが広がる田んぼが蜜源になるとともに、魅力的な景観になればと企画した。農家14戸の協力を得て、景観を楽しんでもらえるように町内各地の道路沿いを中心に田んぼ23カ所(広さ計約290アール)に種子をまいた。

 中本さんによると、農家から「蜜源になるのでよい取り組み」「まきたいと思っていたのでよかった」などといった声があったという。中本さんは「肥料の削減につなげるのも目的の一つで、これをきっかけに各農家で来年以降も続けていってもらえるよう呼びかけたい」と話している。