和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月19日(金)

体験型観光を広域で 日高郡の3町が協議会

体験型観光に広域で取り組んでいくため設立された協議会の総会(25日、和歌山県御坊市湯川町で)
体験型観光に広域で取り組んでいくため設立された協議会の総会(25日、和歌山県御坊市湯川町で)
 教育旅行をはじめとする体験型観光を広域で推進していこうと、和歌山県の印南と由良、日高川の3町の教育旅行誘致団体と県日高振興局が連携し、協議会を設立した。インバウンド(訪日外国人観光客)や大人数の利用客を受け入れることなどが狙い。将来的には御坊・日高全体での観光客受け入れ体制構築を目指す。

 3町ではそれぞれ、民宿や農家などが構成員となり、自然や観光資源を生かしたメニューを開発。国内外の教育旅行を受け入れてきた。和歌山は関西国際空港が近くインバウンドの申し込みが増加しているが、受け入れ人数の制約から断らなければならない場合も多いという。

 体験型観光誘致について既に実績のある3町が連携してスケールメリットを生み、各地域の魅力を打ち出しながら、御坊・日高全体として体験型観光先進地として体制を確立しようと協議会を設立することにした。

 25日には御坊市湯川町の日高振興局別館で設立総会があった。構成団体である由良町教育旅行誘致協議会、印南町教育旅行誘致協議会「いなみかえるの宿」、日高川町の「ゆめ倶楽部21」、日高振興局地域振興部から代表者らが参加した。その他、オブザーバーとして3町の行政担当者も同席した。

 総会では協議会の規約や役員選出について話し合った後、各団体代表者から現状の取り組みや課題について意見が出た。

 印南町は、みなべ町や御坊市、田辺市からも活動に参加したいという申し出があり、来年度から準会員という位置付けで登録する予定であることを紹介。

 日高川町は、体験型観光が移住につながっており、人口増加に貢献しているという報告をした。

 民宿経営者メインで構成して活動する由良町からは、メンバーの高齢化や、天候に左右される観光メニューがあるなどの意見があり、参加者が広域連携の上での可能性を探った。

 協議会は来年度1年間の活動をめどとしている。受け入れ家庭や体験インストラクター向けの研修会を開き、スキルアップや広域としての体制統一を図る。また県外の学校を訪問し、日高の魅力を学校関係者に直接プロモーションする。

 都市部の企業が参画したワーケーションを全国に先駆けて実施している白浜町と連携し、モニターツアーも実施する。夏休みに東京都の企業から親子の参加者を募り、白浜でのオフィス見学と、3町での体験型観光を組み合わせた内容で実施。都市部のニーズを把握することで新たな市場を探る。

 各町の誘致団体は広域連携による効果を期待しており、いなみかえるの宿の会長を務める辻井修さん(72)は「近年はインバウンドがメインとなってきているが、印南町だけでは(受け入れ人数は)70人ほどが限界だった。大人数の学校を受け入れるため、キャパシティーを増やしたい。そしてこの1年間を下準備とし、御坊・日高全体として器をつくることができれば」と話している。