和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月12日(木)

梅酢利用の除菌スプレー商品化 白鶴酒造、梅の機能性生かす

店頭に並ぶ梅酢ポリフェノールを使ったアルコール除菌スプレー(和歌山県田辺市下万呂で)
店頭に並ぶ梅酢ポリフェノールを使ったアルコール除菌スプレー(和歌山県田辺市下万呂で)
 梅酢から抽出した「梅酢ポリフェノール」を使った商品が、全国で初めて発売された。神戸市の酒造会社が製造したアルコール除菌スプレーで、梅の機能性を研究する和歌山県の「紀州田辺うめ振興協議会」は「この商品をきっかけに梅の機能性をもっとアピールできればと思う」と期待している。

 梅酢ポリフェノールは、梅干しの製造過程で出る梅酢から抽出した成分。田辺市やJA紀南でつくる「紀州田辺うめ振興協議会」が、梅の付加価値をアピールして売り出そうと専門家と協力して研究を続けている。

 これまでにインフルエンザウイルスなどの増殖抑制と不活化作用の働きがあることを見つけ、風邪やインフルエンザなどの症状抑制に期待できることが確認できている。

 この機能性を生かした商品開発は課題の一つで、今回、JA紀南から情報の提供を受けた神戸市の白鶴酒造が商品化し、8日に発売した。

 商品名は「白鶴Alcoup(アルコープ)」。100%食品成分で「食品添加物」規格の商品となっているため、まな板や包丁などの調理器具だけでなく、食品の除菌やカビの防止にでも安心して使うことができる。アルコールが蒸発した後も細菌の繁殖を抑制することが期待できるという。

 500ミリリットル入りで、千円(税別)。商品は、白鶴の公式オンラインストア「いい白鶴ネットショップ」で取り扱っている。JA紀南管内のAコープ5店や農産物直売所「紀菜柑」(田辺市秋津町)でも販売している。

 JA紀南は「今回の新商品発売をきっかけに、他の事業所にも健康食品や菓子などの素材として梅を利用してもらえるよう働き掛けていきたい」と話している。