和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月17日(金)

元日にオリジナル福餅販売 みなべの鹿島神社

鹿島神社が元日に売り出す「朔日福餅」(右)。左は「大福茶」(和歌山県みなべ町埴田で)
鹿島神社が元日に売り出す「朔日福餅」(右)。左は「大福茶」(和歌山県みなべ町埴田で)
 和歌山県みなべ町埴田の鹿島神社は元日にオリジナルの餅「朔日福餅(ついたちふくもち)」を売り出す。地元の菓子店と共同開発し、味の決め手となる材料の番茶は同町清川産のものを使っている。神社は「朔日参りの楽しみの一つとなればと思う」と話している。

 鹿島神社は今年の正月、新型コロナウイルス感染症の収束を願い、縁起物の茶「大福茶」を売り出した。清川で生産された番茶と地元産の梅干しに結び昆布をセットにしている。大福茶は、平安時代に京都で疫病が流行した際に振る舞われたとされ、それにあやかり京都などで習慣となっている。同神社でも取り入れ、地元では珍しいこともあって評判が良いという。

 それに続き、昔から新年に長寿や無病息災を願って食べる餅も、参拝者の楽しみの一つになればとオリジナル餅の開発を思い立った。

 氏子でもある菓子店「花みつ」(みなべ町北道)の花光征也さん(42)と「みさき堂」(同町北道)の三前智亮さん(47)に相談。大福茶にも使っている清川産の番茶を入れて餅を作ることにした。

 出来上がったのは、番茶をすりつぶして練り込み、こしあんを入れた大福餅。茶の香りがしっかりして、あっさりとした素朴な味だという。花光さんは「店ではほうじ茶を入れた餅を作って売っているが、そうある餅ではないと思う」。三前さんも「茶の入った餅は珍しく新鮮」。茶を栽培する70代の女性も「番茶は紀州名物の茶がゆに使われる。クッキーに入れてもおいしい。今回、餅にも利用されるのを聞き、うれしいし楽しみ」と話す。

 元日に売り、その後毎月1日にいずれも鹿島神社だけで販売する。製造は2店が月ごとに交代でする。

 花光さんも三前さんも、伊勢の赤福餅や本宮の熊野もうで餅のように特別感のある名物菓子になればと期待している。

 鹿島神社の亀井隆行宮司(48)は「毎月1日に参拝する朔日参りは無病息災や家内安全、生業繁栄を祈念する古式ゆかしい習わし。鹿島神社にお参りされた氏子や崇敬者の皆さんに、喜んでもらえればと思う」と話している。