和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年11月13日(水)

落ちアユ狙い火振り漁 古座川で始まる

舟上からたいまつの火でアユを網に追い込む(1日、和歌山県古座川町川口で)
舟上からたいまつの火でアユを網に追い込む(1日、和歌山県古座川町川口で)
網に掛かったアユ
網に掛かったアユ
 和歌山県古座川町の古座川で「火振り漁」が始まっている。地元住民たちが各地で夜に舟上でたいまつを振り、産卵のため川を下る「落ちアユ」を網に追い込んでいる。漁期は12月31日まで。

 明治時代に山口県から出稼ぎに来た林業家が地元の人に教え、大正時代に町全域に広がった漁法。舟をこぐ人と火を振る人の2人一組で行う。雨が降って川が濁ると川底まで火が届かないため漁ができず、曇りの日が漁に適しているという。

 同町川口の古座川では、杉尾延弥さん(62)=古座川町月野瀬=と杉尾行久さん(44)=同町高池=が解禁日の9月20日から漁をしている。今季9回目の10月1日は、日が沈んだ午後6時ごろから漁を始め、川に仕掛けた3枚の網にアユを追い込んだ。約1時間で20センチほどのアユが約30匹取れた。

 行久さんは「本格的な漁は10月中旬ごろからになるのではないか。今年のアユは大きいけど、数は少ない」、延弥さんは「2011年の紀伊半島大水害以降、年々あかんようになってきた」と話した。

 2人の漁を見守った行久さんの父、明重さん(71)=同町高池=は、約40年この漁をしていたが、2、3年前にやめたという。「20年ぐらい前には、1枚の網に多い日で300匹ぐらい掛かった日もあったが、最近は多い時でも100匹ぐらい。今年はまだ10匹ぐらいしか掛かっていない」と話していた。

 明重さんによると、昔はわらで巻いたスギの葉に火を付けて振っていたが、今は灯油を湿らせた布を籠に入れて振っているという。

 古座川漁協の橋本尚視組合長(67)は「昭和50年代には、古座川流域で火振り漁をしている人は100組以上いたが、現在は5組に減っている。アユの数が減って小型化しているのは全国的な傾向で、原因は分かっていない」と話している。