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2024年06月14日(金)

【詳報・動画】ロケット発射13日以降に延期 警戒区域に船舶、和歌山・串本の発射場

大型モニターが設置された旧浦神小学校で、カウントダウンが過ぎても打ち上がらないロケットを心配そうに見守る観客(9日、和歌山県那智勝浦町浦神で)
大型モニターが設置された旧浦神小学校で、カウントダウンが過ぎても打ち上がらないロケットを心配そうに見守る観客(9日、和歌山県那智勝浦町浦神で)
 宇宙事業会社スペースワン(東京)は9日、和歌山県串本町田原の発射場「スペースポート紀伊」から小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを予定していたが、13日以降に延期した。安全のため立ち入りを制限している海上警戒区域に船舶が残っていたことが原因で、ロケットに異常はないという。打ち上げ直前の延期に関係者や見学者からは落胆や、次回の打ち上げに期待する声が聞かれた。

 同社は打ち上げ時刻について、同日午前11時1分12秒としていたが、直前に11時17分12秒に変更。その後、日程変更を発表した。

 午後2時から、那智勝浦町内のホテルで同社の阿部耕三執行役員が会見した。延期原因について、安全のために立ち入りを制限する海上警戒区域(約6・5キロ四方)を設けており、事前に周知し、警戒船約10隻を出していたが、区域内に船舶が入り、打ち上げ10分前になっても船舶が残留する状況だったため、中止したと説明した。

 1隻が区域の中に深く入り込み、それを追って警戒船が入っていた。また、警戒線ぎりぎりの所にも数隻の船がいたので、安全のためもう少し距離をとってほしいと求めていた。ロケット自体に問題はなかったという。

 次回の打ち上げ日程については、天候や海外での有人宇宙船の帰還を考慮し、13日以降を想定し、新たな日時は少なくとも打ち上げ2日前には公表したいとした。打ち上げ時間帯は今回と同じく午前11時1分12秒~11時17分12秒。

 阿部執行役員は「こういう結果になり遺憾。次は期待に沿えられるよう全力を尽くしたい」と話した。

 今後の対策について、もっと早い段階から警戒監視活動をし、当該海域に近づかないように求めることなどが考えられると語った。

 カイロスは全長約18メートル、重さ約23トン。固体燃料3段式と軌道変更用液体エンジンからなるロケット。先端に、衛星を搭載して打ち上げ、軌道に投入する。

 打ち上げ初号機には、内閣衛星情報センターの「小型衛星」(縦横約75センチ、高さ約100センチ、重さ約100キロ)を搭載。情報収集衛星に不測の事態があった場合に代替となる、短期間で打ち上げが可能な小型衛星の実証研究を目的とする。

 成功すれば、民間発射場からのロケット打ち上げと、民間単独での衛星の軌道投入は日本で初めてとなる。本州では唯一のロケット発射場で、この日、朝早くから見学に多くの人が集まり、打ち上げを待った。

■残念、次回に期待

 海上の警戒区域に船舶が入っていたことについて岸本周平知事は「どこまで防げるか検証し、次回打ち上げ時にはそういうことがないようにしていただきたい。スペースワン社からの要望があればどのようなことでも応援したい」と述べた。

 田嶋勝正串本町長は「最高の天気だっただけに残念。打ち上げはかなわなかったが、皆さん拍手をしてくれていてほっとした。次回また来てもらいたい」と語った。

 堀順一郎那智勝浦町長は「楽しみが先に延びたという感じで待ちたい。浦神地区にこれだけ多くの方が県内外からお越しいただいたのは初めてくらいではないかと思う」と述べた。