和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年05月10日(月)

宇宙産業の可能性探る 串本で起業家らシンポ

衛星工学の第一人者らが講演した宇宙シンポジウム(18日、和歌山県串本町サンゴ台で)
衛星工学の第一人者らが講演した宇宙シンポジウム(18日、和歌山県串本町サンゴ台で)
 和歌山県串本町サンゴ台のホテル&リゾーツ和歌山串本で18日、「宇宙シンポジウムin串本」があった。衛星工学の第一人者や宇宙領域で新たなビジネスを興そうとしている起業家による講演やパネルディスカッションがあり、地元高校生を含む参加者が宇宙産業などに対する知識を深めた。

 同町では、田原に民間ロケット会社「スペースワン」(東京都)がロケット発射場「スペースポート紀伊」を建設中。来年度中に第1号機を打ち上げる予定となっていることを受け、県がシンポジウムを開いた。

 宇宙産業振興に関わっている一般社団法人「SPACETIDE(スペースタイド)」代表理事CEOの石田真康さんは、オンラインで講演。宇宙産業は、携帯電話など、すでに社会生活の基盤になっており、産業規模は2018年時点で約40兆円、40年には約160兆円になり得ると説明。現在は大変革期を迎えており、人工流れ星、宇宙ごみ除去などユニークなビジネスが今後始まると述べ「宇宙産業が日本の成長戦略の柱になる可能性がある」と話した。

 超小型衛星の設計・製造などを担うベンチャー企業「アクセルスペース」取締役CTOの宮下直己さんは、宇宙は将来、誰でも使える空間となることから「串本は宇宙への窓口になっていく」と述べ、東京大学大学院工学系研究科の中須賀真一教授は「串本は国際的な町になっていく」と話した。

 「オーシャンソリューションテクノロジー」代表取締役の水上陽介さんは、ベテラン漁業者の経験や技術、勘をデータ化し、衛星データなどと組み合わせて若手漁師に技術継承する取り組みを紹介。スペースワン最高顧問の遠藤守さんは、小型衛星を使った農林水産や防災などのビジネスについて話した。

■ 見学場と渋滞対策

 県産業技術課の柴田和也課長は、串本でのロケット打ち上げ時の見学者を2万人、自動車を8千台と想定し、経済波及効果の最大化と交通渋滞回避を両立した対策を考えていると説明。事前予約制の有料公式見学場として、田原海水浴場、旧浦神小学校、旧古座高校、旧古座川病院の4カ所を用意することや、宿泊施設からシャトルバスを運行する予定であることを話した。

 仁坂吉伸知事は冒頭のあいさつで、この日のシンポジウムは、定員の200人がすぐに埋まったため、オンラインで生発信することになったと紹介し、世界最先端の事業が和歌山県で始まることを誇りに思うと話した。