和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月17日(金)

紀南の観光地、影響じわり 大阪発のGoTo自粛で

11月の3連休以降、観光客が減少している千畳敷(12日、和歌山県白浜町で)
11月の3連休以降、観光客が減少している千畳敷(12日、和歌山県白浜町で)
 政府が観光支援策「Go To トラベル」で大阪市を出発する旅行の自粛を呼び掛けて2週間。大阪からの宿泊客が多い和歌山県紀南地方の観光地でもじわりと影響が広がっている。


 白浜町の白浜温泉街のある宿泊施設は「キャンセルがぽつぽつ出ている。新規予約も動きが鈍い」という。現時点で年末年始はほぼ埋まっているが、幹部は「まだ様子見の人も少なくないだろう。ボディーブローのように効いてくる可能性もある。予約が消えれば、埋まらないかもしれない」と気をもむ。例年なら忘年会での利用も多い時期だが、今年はそれも少ないという。

 別の施設では、11月の時点でほぼ埋まっていた年末年始の予約のうち、1割ほどが消えたり、新たに増えたりしている状況という。「普通は一度埋まったら動かないが、今年は違う。売り上げは目減りするだろう」とみている。幹部は「コロナ禍でいろんなことに対応しないといけない一年だったが、これからも安心して利用してもらうために何が求められているのか、改めて考えないといけない」と気を引き締めていた。

 白浜温泉旅館協同組合(加盟24施設)事務局によると、宿泊者数は「Go To」もあって10月は前年比98%、11月は106%と持ち直してきていた。そうした中でのコロナの緊張の高まりで「12月は(10、11月と)同じようにはいかないかもしれない」と話している。

 熊野古道を歩く団体客らが訪れている田辺市本宮町のある宿泊施設は「今のところ年末年始の予約も含め、大きな影響はない」とした上で「ツアー客は40人の予定が半減するなど、人数が大幅に減るケースも出てきた」と今後の影響を心配する。

 ビジネス客は堅調。田辺市街地のビジネスホテルでは「あくまで自粛。多少キャンセルがあっても、大きな影響はない。大阪だけでなく、首都圏からの利用も続いている」という。ただ「帰省、観光客にシフトする年末年始は厳しくなりそうだ」と話した。

 ある宿泊施設の幹部は「来てもらわないとビジネスが成立しないが、従業員は常に感染リスクがつきまとう。『Go To』は事務手続きも煩雑で、負担が大きい。いろんな意味で厳しい状況が続く」とこぼした。

 「Go To」については、政府の新型コロナ感染症対策分科会が一時停止などを提言しており、観光関係者は政府の動向を注視している。