和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年05月19日(日)

メタンハイドレート求め10年目の調査 串本沖

メタンハイドレートの調査に出港する漁業調査船「きのくに」(和歌山県串本町串本で)
メタンハイドレートの調査に出港する漁業調査船「きのくに」(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県は20日、未来の天然ガス資源として注目されているメタンハイドレートの存在を県南部沖で調べている取り組みで、本年度最初の調査を串本町潮岬沖で行った。調査は2012年度から続けており、本年度で10年目。潮岬沖ではメタンハイドレートの存在を示すデータが得られており、県は実績を積み上げながら、国に対して本格的な調査を呼び掛けたいとしている。

 県産業技術政策課によると、この調査は、魚群探知機を使ったメタンハイドレート調査の第一人者という青山千春・東京海洋大学特任准教授の監修の下、民間の研究機関「独立総合研究所」(東京都)が海域を選定して毎年実施。これまで潮岬沖のほか、枯木灘や白浜町富田の沖でも調査を重ねており、潮岬沖約20キロの海域では毎回、メタンハイドレートを探す目印になる、海底から立ち上るメタンガスの気泡の密集帯「メタンプルーム」の存在を確認しているという。

 この日は午前9時半ごろ、県の漁業調査船「きのくに」に関係者9人が乗り込み、串本町串本の串本漁港を出港。潮岬沖で調査船に搭載している魚群探知機を使ってメタンプルームの存在を調べ、午後5時ごろに帰港した。メタンプルームとみられるものは確認できたが、独立総合研究所にデータを送って詳しく分析してもらうという。

 同課の担当者は「調査船『きのくに』が昨年11月に新しくなり、精密により詳しく調べることができるようになった。メタンハイドレートの調査研究は日本海側が先行しているが、太平洋側でも潮岬沖でメタンプルームの存在を確認しているという実績を積み上げており、国に認めてもらって一日でも早く本格的な調査研究が進むよう呼び掛けていきたい」と話していた。

 本年度はこの日を含め、計6回の調査を予定している。