和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年12月18日(木)

ドローンで農薬散布 ミカン畑の作業を省力化、和歌山県田辺

スマートフォンを使い、ドローンでミカン畑に農薬散布する小谷大蔵さん(和歌山県田辺市下万呂で)
スマートフォンを使い、ドローンでミカン畑に農薬散布する小谷大蔵さん(和歌山県田辺市下万呂で)
 和歌山県田辺市下万呂の農家、小谷大蔵さん(45)は、ミカン畑の農薬散布にドローンを導入し、作業の省力化を図っている。自分の畑だけでなく、周囲の農家の依頼を受けて請負もし、地域農業の維持に努めている。

 小谷さんは約120アールで温州ミカンを栽培している。畑は平地が1割ほどで、斜面にある段々畑が約9割を占める。父から農業を継ぎ、近隣から畑を預かって面積が増える中、省力化を図ろうとドローンを導入した。今春から稼働している。JAわかやま紀南地域本部管内では、稲作で導入しているところはあるが、ミカン栽培では先駆けという。

 機体は容量20リットルのタンクを備え、羽根を畳むと、軽トラックの荷台に載せられる大きさ。1人で積み下ろしができる。導入費用は約480万円で、そのうち約4割は、わかやま産業振興財団から補助を受けた。

 初めて農薬散布する畑では、事前に畑を回って地点登録する必要があるが、その後は畑に入ることなく、スマートフォンを使い、目視でドローンを監視しながら、自動飛行で農薬散布することができる。

 小谷さんは「斜面にある畑を歩き回って散布する労力がなくなったし、かかる時間は7割くらいの減になった。すごく楽」と話す。今のところ、目立った病害虫の発生もなく、うまく散布できているようだという。

 補助を受けるに当たって、高齢化などで耕作放棄地になるのを少しでも抑えるために請負をするという計画も出しており、これまでに2件請け負っている。

 ミカンの木を低く仕立てたり、木と木の間を開けたり、周囲の雑木を切ったりして、畑でドローンを飛ばしやすいように少しずつ整備も進めている。

 小谷さんは「労力軽減につながっている。周囲の高齢農家などが、少しでも生産を続けてもらえるように手助けできればと思う」と語る。


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