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2025年12月19日(金)

考える力育てて 小中のタブレット新調、和歌山県田辺市

更新されたタブレット端末を早速活用する児童(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)
更新されたタブレット端末を早速活用する児童(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)
 和歌山県田辺市の小中学校で学習用タブレット端末の更新が進んでいる。さまざまな教科で活用が定着しており、市教育委員会は「新機種はより使いやすくなるはず。考える力を育てるのに生かしてほしい」と期待している。

 国は、教育のデジタル化を目指す「GIGAスクール構想」に基づき、小中学生に学習用端末を1人1台配備することを計画。2020年度末までに、多くの自治体で調達が進んだ。バッテリーの耐用年数は4~5年程度で、本年度から更新する自治体が相次いでいる。田辺市では4600台の更新に2億5355万円を予算計上している。

 同市中辺路町栗栖川の中辺路小学校(児童37人)で2日、タブレット端末の贈呈式があった。佐武範一校長が全校集会で「ルールを守って、大切に優しく使って」と新しいタブレットを紹介。1年生(6人)の教室では一人一人に手渡した。

 1年生は新しいタブレットに興味津々で、「かっこいい」「軽い」などと歓声を上げ、早速付属のペンを使って絵を描いたり、写真を撮影したりして、楽しみながら活用した。

 池辺佳永さんは「(これまで使用していたタブレットより)簡単で使いやすい。図工の時間に使えるのが楽しみ」と話した。

■広がる活用


 市教委によると、タブレットは自分の考えをまとめ、発表するために使うことが多い。例えば理科の実験の考察について、動画撮影も組み込んだリポートを作る事例もある。タブレットを通じた意見共有は教室内にとどまらず、他県や海外との交流に活用する学校もある。

 一方で、デジタルを積極導入した海外の「教育先進国」で、子どもの学力低下や心身の不調が問題視され、見直しの動きが出ている。国内でもさまざまな意見はあるが、市教委の担当者は「子どもたちが未来を切り開く上で、デジタルの学習は必要だと考えている。紙かデジタルかではなく、両方の良さを生かしていきたい」と話している。

 これまで使用してきたタブレットは一部を学校の予備用として残すものの、大半は業者を通じてリサイクルする。


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