和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年12月19日(金)

竹中さんに文化賞 熊野の森保全に尽力、和歌山県田辺市

竹中清さん(和歌山県田辺市提供)
竹中清さん(和歌山県田辺市提供)
 和歌山県田辺市は31日、市文化賞に、NPO「熊野の森ネットワーク いちいがしの会」顧問の竹中清さん(84)=田辺市中辺路町栗栖川=を選んだと発表した。長年にわたって照葉樹林の回復に向けた植樹活動や環境教育に尽力し、熊野の豊かな自然環境の保全に努めたことを評価した。

 竹中さんは中辺路町出身。書店経営や新聞販売業を生業とする傍ら、1997年に発足した「いちいがしの会」の活動に設立当初から携わった。

 いちいがしの会は、熊野の本来の森である「照葉樹林の復活」を目指し、生物学者の故・後藤伸氏の呼びかけで発足。竹中さんは2004年から16年間にわたって会長を務め、その中心的な役割を担ってきた。

 荒廃した人工林を自然林に戻すため、地元に自生するイチイガシなど常緑広葉樹の種をまき、苗木を育てて植樹。自然観察会や環境講座も開催し、地域住民や若い世代への環境教育にも力を注いできた。

 いちいがしの会は、06年に緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰を受けている。

 竹中さんは「いちいがしの会は設立から28年。同じ志を持つ仲間たちと共に、気が遠くなるような活動を地道に続けてきた。自然こそ命の源であることを忘れず、これからもくじけずに一歩一歩進んでいきたい」とコメントした。


 市文化賞は、旧田辺市で1970年に創設した制度を継承し、今回で56回目。市の文化発展に貢献した人を対象にしており、受賞は今回を含め85人となる。

 贈呈式は11月21日に市役所である。


次のニュースを読む