和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年12月19日(金)

【動画】勇壮に獅子舞 秋祭り、和歌山県紀南各地に活気

近露王子の境内で奉納された野中の獅子舞(3日、和歌山県田辺市中辺路町近露で)
近露王子の境内で奉納された野中の獅子舞(3日、和歌山県田辺市中辺路町近露で)
見物人を魅了した上野の獅子舞(3日、和歌山県田辺市下川下の春日神社で)
見物人を魅了した上野の獅子舞(3日、和歌山県田辺市下川下の春日神社で)
 秋晴れとなった3日、和歌山県紀南の各地で秋祭りが営まれた。田辺市の山間部では太鼓や笛の音色とともに、県の無形民俗文化財に指定されている勇壮な獅子舞が奉納された。

■野中の獅子舞


 田辺市中辺路町の近露や野中では、獅子舞を継承する近野獅子舞団(井谷充孝団長、15人)による「野中の獅子舞」が奉納され、見物人を楽しませた。

 中辺路町誌によると、南北朝時代に南軍であった熊野武士たちが、士気を鼓舞するために始めたのが起源とされ、江戸時代に古座流の舞を取り入れて完成させたと伝えられている。

 近露王子では神事の後、笛や太鼓の音に合わせて「乱獅子」「花がかり」の演目を奉納。境内を動き回り、迫力ある獅子舞を見せた。頭を高々と上げる「かねまき」を披露すると、多くの見物人から拍手が送られた。

 境内では近野小学校の児童による笛や太鼓の演奏、餅まきもあり、盛り上がった。この日は近露の近野神社や野中の継桜王子でも獅子舞の奉納があった。

 井谷団長(49)は「天気が良く、人もたくさん来てくれた。ふるさと学習の一つとして、小学生が笛を吹いたり太鼓をたたいたりしてくれている。地域の歴史や伝統を知ってもらうことで後継者の育成につながればうれしい」と話した。

■上野の獅子舞


 田辺市下川下の春日神社では、「上野の獅子舞」の奉納があった。

 上野獅子舞保存会(湯川剛会長、17人)が「幣の舞」や「乱獅子」、獅子が自分の胴の下を巧みにくぐる「くぐり」など7演目を披露し、見物人を魅了した。

 上野の獅子舞は室町時代に八郎又衛門によって伝えられたといわれ、五穀豊穣(ごこくほうじょう)や地域住民の安全を祈願する。保存会は新たに2人をメンバーに迎え、9月から練習を重ねてきた。

 湯川会長(59)は「思ったより多くの観客が集まってくれてやりがいがあったし、練習の成果を出せた。担い手不足などの問題がある中、伝統あるものが途切れないよう、公民館などへの訪問披露で少しでも獅子舞のことを知ってもらい、未来へ守っていきたい」と話した。

 祖母が上野地区出身で見に来たという水口愛茉梨さん(7)は「てんぐが獅子舞を起こすところが面白かった」、弟の煌理ちゃん(3)は「獅子舞大好き。かっこよかった。次も見たい」と楽しんでいた。


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