和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年12月19日(金)

古里に響く笛、太鼓 好天に恵まれにぎわう 和歌山県紀南各地

ユーモラスな動きで獅子を誘うてんぐ(和歌山県田辺市中万呂で)
ユーモラスな動きで獅子を誘うてんぐ(和歌山県田辺市中万呂で)
みこしを担ぎ、神社境内の階段を上っていく子どもたち(和歌山県田辺市秋津町で)
みこしを担ぎ、神社境内の階段を上っていく子どもたち(和歌山県田辺市秋津町で)
供え物が入った膳を頭に載せる女児(和歌山県上富田町岡で)
供え物が入った膳を頭に載せる女児(和歌山県上富田町岡で)
 好天に恵まれた23日、和歌山県紀南各地の神社で秋祭りが営まれ、多くの見物人でにぎわった。獅子舞やみこしが練り、渡御が厳かに営まれた。

■「万呂の獅子舞」奉納
田辺・須佐神社

 田辺市中万呂の須佐神社では、氏子らでつくる「万呂獅子舞保存会」が市無形民俗文化財の「万呂の獅子舞」を奉納した。てんぐやお多福のユーモラスな動きが見物人を楽しませた。

 宮入りした獅子2頭は、笛や太鼓の音色に合わせて「幣の舞」「寝獅子」「花の舞」「剣の舞」など7演目を華やかに舞った。てんぐとお多福は、長い柄の幣を振り回したり、すりこぎ棒を振ったりして寝ている獅子にちょっかいを出すなどした。周りからはかけ声が上がって盛り上がった。

 子どもみこしの奉納もあり、元気な声が響き渡った。

 万呂獅子舞保存会の野田智則会長(55)は「後継者不足もあり、小学生がお多福を演じてくれた。これからも存続して地域を盛り上げていきたい」と話した。

■「子どもみこし」元気に
田辺・豊秋津神社

 田辺市秋津町の豊秋津神社では5基の子どもみこしが登場し、「わっしょい」と元気なかけ声を響かせた。

 町内の5地区(大西、青木、田尻、西八丁、矢矧)から、幼児や小学生とその保護者約140人が参加。子どもたちは法被や鉢巻きを身に着け、笛や太鼓、拍子木などを鳴らしながら、色とりどりに飾り付けられたみこしを担いで神社に向かった。

 生駒太朗君(10)は「妹たちと初めて参加した。みこしは重たかったけど、とても楽しかった」、鈴木凰禾ちゃん(5)は「初めて太鼓をたたいたけど難しくなかった。お友達もできて楽しかった」と話した。

 神社の近くでは農産物の販売やバザー、福引などがあった。祭りの最後には餅まきもあり、地域の人々でにぎわった。

■町文化財「おばなち」
上富田・八上神社

 上富田町岡の八上神社では、県指定の岡の獅子舞が奉納されたのをはじめ、今夏に町の文化財に指定された祭事「おばなち」も営まれた。

 「おばなち」は、女児が神様への供え物を運んで祈願する祭事。

 各地区のお宿から渡御の行列が出て、先頭に御幣を持つ人が立ち、「おばなち」の女児が続いた。神殿前で女児の頭に赤い布をかぶせてわらで編んだ輪を置き、その上に餅や米、塩、サカキなどを入れた膳を載せて供えた。

 今年は7地区から計37本の御幣が供えられ、家内安全や健康などが祈願された。

 おばなちに参加したのは3回目という岡小学校2年の谷本瑞穂さん(7)は「緊張したけどうまくやれたと思う」と笑顔を見せた。

 岡獅子舞団(脇田慎吾団長)は神殿や境内で「幣の舞」「剣の舞」「大神楽の舞」「花一連の舞」などを舞った。てんぐやお多福がユーモラスな動きで獅子を起こしたり、誘ったりして見物人を楽しませた。

 地域特産のヒョウタンを飾り付けた子どもみこしも登場。「わっしょい、わっしょい」と道中を練り歩いた。


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